国立精神・神経医療センター精神保健研究所[東京都小平市]

本日は、さいたま市議会局の視察に同席。
議会局からは、武山広道さいたま市議会議員、齊藤健一さいたま市議会議員がご担当者として視察。

訪問先は、国立精神・神経医療センター精神保健研究所に訪問して、こちらの児童・思春期精神保健研究部の神尾陽子部長と懇談しました。

神尾陽子先生の経歴は以下のホームページにて。
http://www.ncnp.go.jp/nimh/jidou/aboutus/kamio.html

神尾先生は、児童精神科医として発達障害や愛着形成障害などについて深く研究を重ねる、児童・思春期精神保健関連での第一人者です。

特に、早期発見だけに重きを置かずに、その後のフォロー体制などについても、地元の教育委員会などとの連携して、学校や家庭との連携支援などについても提唱されている方。

今回の懇談内容は、早期発見に伴う、乳幼児自閉症セルフ診断テスト「日本語版 M-CHAT」について。

さいたま市の1歳6ヶ月検診時においてのM-CHAT導入における考察をお伺いしました。

今年6月のさいたま市定例会において、齊藤健一さいたま市議会議員が1歳6ヶ月検診時におけるM-CHAT導入の推進について質問をされました。

質問は以下のとおりです。

「M-CHATを1歳半健診で導入することにより、親は自分の子供の発達上の特性に対する理解を深めることができ、その後の3歳児健診や就学時健診への向き合い方が変わり、それまで見逃していた我が子の発達上の課題を受け入れ、ペアレント・メンターやペアレント・トレーニングにかかわることで、我が子とともに早期の療育を行い、二次障害、我が子への虐待行為、ネグレクト行為の予防にもつながっていくものと考えます。

近年、国立精神・神経医療研究センターへM-CHAT導入に向けての自治体からの問い合わせもふえていると伺っています。発達障害の早期発見、そして早期療育を進める施策として、さいたま市においても1歳半児健診にM-CHAT導入を行うべきだと考えますが、市の見解を伺いたいと思います。」

その時に、さいたま市保健福祉局長から回答が以下のとおり。
「自閉症スペクトラム障害の評価指標として有効とされるM-CHATを1歳6カ月児健康診査に取り入れることは意義あることと考えております。現在実施しております1歳6カ月健康診査の問診項目にも、泣かないで欲しいものを指さしますか、親としっかり視線を合わせますか、他の子供に関心を持ちますか、人のまねをしますかなど、M-CHATの質問に近い項目が含まれており、健診の事後フォローにおいては注意深く対応しているところです。」

さいたま市は、1歳6ヶ月検診時おける検診時において親御さんへの質問事項の中に「M-CHATの質問に近い項目が含まれており」と回答していましたが、神尾先生にその質問事項を確認してもらったところ、23項目のうち、大事な社会的な点が16項目であり、それ以外はダミーが混ざっており、本当に聞きたい共同注視などの中核質問の部分は1から1.5程度の内容であるとのことでした。

この点について改めて確認した後、M-CHAT導入の重要性について、現在124の市町村で導入されている事例、または導入後におけるフォロー体制、陽性反応の場合での当事者やその親御さんへの関わり方などについて伺いました。

また東京都江戸川区、岡山県と岡山市が一体となって取り組んでいる早期発見の体制などについても聞きしました。

とても勉強になりました。