「ことば」の専門家が支える ~大阪府枚方市「リニエ プラッツ くずは」訪問~
【視察報告】「ことば」の専門家が支える、親子の安心と未来
~大阪府枚方市「リニエ プラッツ くずは」訪問~
2025年12月2日(火)午前、山本博司前参議院議員に同行し、大阪府枚方市にある「リニエ プラッツ くずは」(児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援)を視察いたしました。
当日は、株式会社リニエの谷隆博社長、株式会社三輪書店(リニエR)の青山智社長、藤田康雄取締役、長瀬正幸サービス本部本部長、そして同施設の管理者である中野伸也様、京都橘大学の高畑進一教授にもご同席いただき、現場の取り組みや熱い想いを伺う貴重な機会となりました。
就学前、多くの親御さんが抱える「ことば」への焦り
「リニエ プラッツ くずは」は、その名の通り「ことば(言語)」の療育に特化した事業所です。
視察の中で特に胸を打たれたのは、管理者の中野様(言語聴覚士)が語られた開設の経緯でした。
私たち支援者のもとには、未就学のお子様を持つ親御さんから、切実な声が数多く寄せられます。
「周りの子はもうお喋りしているのに、うちの子だけ言葉が出ない」
「お友達とうまく遊べず、手が出てしまう」
「小学校入学までに、みんなに追いつけるのだろうか」
特に就学前は、集団生活の中で他のお子様との差を目の当たりにしやすく、親御さんの不安や焦りがピークに達する時期でもあります。中野様は訪問リハビリの現場で、そうしたご家族の孤立感や、「どこに相談すればいいのか分からない」という悩みに直面されてきました。
「言葉のことで悩んだら、あそこに相談すれば大丈夫」
そう地域の方々に思っていただける「安心の拠点」を創りたい――。その強い信念が、この施設の根幹にあります。
4名の言語聴覚士が常駐する「専門性」の高さ
今回、私が福祉の専門職として驚かされたのは、その人員体制の充実ぶりです。
- 言語聴覚士(ST):4名
- 作業療法士(OT):1名
- 保育士:2名
全国的に見ても不足していると言われる言語聴覚士(ST)が4名も常駐し、現在63名の利用者様一人ひとりに向き合っています。
「ことばの遅れ」と一口に言っても、その背景は一人ひとり異なります。「聞いて理解する力」の問題なのか、「発音するための口の機能」の問題なのか、あるいは「コミュニケーションへの意欲」の問題なのか。
言語聴覚士は、単に「言葉を教える」だけではありません。「なぜ言葉が出にくいのか」という背景を医学的・心理学的な視点から分析(評価)し、その子の発達段階に合わせたスモールステップを見極めるプロフェッショナルです。
視線が合うこと、指差しで要求を伝えること、交互にやり取りを楽しむこと――。
そうした「言葉以前の大切な土台」から丁寧に積み上げていく専門的なアプローチに、深く感銘を受けました。
「伝わる喜び」が「自己肯定感」を育む
同施設が大切にされているのは、単に語彙数を増やすことだけではありません。
「嬉しい」「楽しい」「悲しい」といった気持ちを言葉で表現し、相手に伝わる経験を積み重ねることです。
自分の思いが伝わった時の子供たちの輝くような笑顔。
そのコミュニケーションの成功体験こそが、子どもたちの「自己肯定感」を育み、社会へ出ていくための自信となります。
視察を終えて
保護者の皆様や行政からも高い評価を得ており、今後も展開を広げていきたいという前向きなビジョンを伺い、大変心強く思いました。
山本博司氏と共に、早期からの専門的な支援がいかに重要かを再確認すると同時に、親御さんの不安に寄り添い、確かな専門性で支えるこうした拠点が、地域にもっと必要であると痛感いたしました。
私たちNPO法人輝HIKARIも、すべての子どもたちが自分の言葉で思いを伝えられる社会を目指し、さらに尽力してまいる所存です。
ご対応いただいた中野管理者をじめ、リニエグループの皆様、関係者の皆様、誠にありがとうございました。





