さいたま市内における地域生活支援拠点等の取り組みと課題について:高澤守 事務局長講演内容

23日夜、当団体が主催して行われた埼玉県内における地域生活支援拠点等の取り組みと課題について」と題した政治学習会を開催しました。

学習会:「埼玉県内における地域生活支援拠点等の取り組みと課題について」:さいたま市

23日夜、埼玉県さいたま市にて特定非営利活動法人輝HIKARIが主催する「埼玉障害福祉勉強会」を開催しました。テーマは「埼玉県内における地域生活支援拠点等の取り組みと…

式次第は以下の通り
・主催者挨拶/金子代表理事  
・開会のご挨拶及び地域生活支援拠点等に関する行政説明/山本博司参議院議員
・埼玉県内における地域生活支援拠点等の取り組みと課題について」
    ・社会福祉法人 昴 丹羽彩文 理事長
    ・社会福祉法人じりつ 岩上洋一 理事長
・「さいたま市内における地域で生活する課題と行政への提案」/社会福祉法人 埼玉福祉事業協会 髙澤守 事務局長
・参加された3名の国会議員:矢倉克夫氏・宮崎勝氏・高橋次郎氏(参議院議員)からコメントとご挨拶

社会福祉法人埼玉福祉事業協会 高澤守事務局長の講演として、「さいたま市内における地域生活支援拠点等の取り組みと課題について」として15分ほどお話しを頂きました。
その講演内容を要約いたしました。


 社会福祉法人埼玉福祉事業協会の高澤事務局長は、入所施設と地域福祉の「対極的」なイメージを変え、両者が連携して障害のある人たちを支えていく必要性を強調している。 同協会には、施設入所支援を提供する「杉の子学園」「ゆずり派」のほか、短期入所や就労支援(A型・B型)・生活介護事業を行う「あかしあの森」があり、地域の緊急支援ニーズや就労の機会を幅広く担っている。

 高澤氏自身は以前、地域生活支援に力を入れる社会福祉法人 昴の理事長を務めていた。その時は「入所施設は地域生活の対極にある」という先入観を抱いていたが、埼玉福祉事業協会に移って驚いたのは、年間予算16億円ほどのうち15%が就労による収入である点である。
 A型雇用やB型就労継続支援を利用する障害のある人たちが、最低賃金での雇用契約や高水準の工賃(8万円・6万円程度)を得ていることは、地域の企業や団体との積極的な連携があってこそ成り立っている。そして夜間の生活支援も充実させることで、入所者の暮らしに安定をもたらしつつ、地域の人々が通所やショートステイなど多様な形で施設機能を活用できるようになっている。

 一方で、高澤氏は「地域からの要望が少ない」という課題を指摘する。入所施設の機能をさらに地域に開放し、多様な人が必要に応じて利用できる仕組みづくりを望んでいるが、行政や住民が施設を“使いこなす”場面が十分には見られないためだ。かつて昴に在職時に小川町で取り組んだ、レスパイトサービスを活用した拠点整備の試みは財政難で断念したが、その経験からも「地域が一体となり、行政が責任を担いつつ、住民・事業所・専門家が連携して支える形こそが理想」であると感じている。

 さらに、障害者権利条約の流れも踏まえると、「本人の意思で地域生活を選べる」ことは大前提であり、入所施設をゴールにするのではなく、必要に応じて両者を行き来できる循環型の福祉が望ましいと強調する。障害当事者が自ら主体的に「どこでどう暮らすか」を選び、その選択肢の一つとして入所施設も地域拠点として機能する。高澤氏は、こうした多様な暮らし方を実現するためには、福祉事業所同士や行政、地域住民が課題を共有し、「誰かに押し付けるのではなく、皆で担う」という意識づくりが不可欠だと述べている。
 そのために自らも、培ってきた経験を活かしながら「最後までこの道を究めたい」との強い意欲を示した。