令和8年度 障害福祉サービス報酬改定及び処遇改善についてヒアリング:永田町

15日午後、参議院議員会館の原田大二郎参議院議員事務所にて、「令和6年度の報酬改定後の状況を踏まえた課題について」として、厚労省・こども家庭庁よりヒアリングに同席いたしました。
このヒアリングは、原田大二郎参議院議員、山本博司前参議院議員に同席。

現在行われている、障害福祉サービス等報酬改定検討チームの検討状況を伺い、令和8年度に向けた報酬改定及び処遇改善について状況を確認しました。

・就労移行支援体制加算の見直し(令和8年4月施行)
・就労継続新B型の基本報酬区分の基準に見直し(令和8年6月施行)
・制度の持続可能性を確保するための見直しなど等。(令和8年6月施行)

今後さらに検討チームで協議を続け、施行がスムーズに実施できるよう対応するとの事です。
私からは、現場の切実な声も届けさせていただきました。



令和6年度・8年度における障害福祉サービス等報酬改定に関する協議報告書

1. 懇談の背景と目的

本懇談は、急速に増加する障害福祉サービス予算の適正化と、サービスの質の確保、そして現場の経営実態との乖離を埋めることを目的として行われた。参加者は、厚生労働省障害福祉課、こども家庭庁の担当官、山本博司前参議院議員、原田大二郎参議院議員、および現場代表として特定非営利活動法人「輝HIKARI」の金子訓隆代表理事である。主な論点は、令和8年度に予定されている「新規事業所に対する臨時的な報酬単価の設定(事実上の引き下げ)」と、就労支援サービスにおける算定ルールの厳格化である。


2. 障害福祉サービスの現状と課題(厚労省・こども家庭庁説明)

(1) 予算規模の急増と人材確保の難航

障害福祉サービスに係る予算は、障害者自立支援法(現:総合支援法)施行後、早期の段階から4倍以上に増加している。特に令和6年度の報酬改定では、全体でプラス1.12%という高い伸びとなった。しかし、背景には深刻な課題が二点ある。

  • 人材確保の危機: 介護・福祉職員の人材確保が喫緊の課題となっており、一部のサービスでは収支差率を確保できているものの、人手不足がサービス維持の足かせとなっている。
  • 質の伴わない新規参入の増加: 自治体アンケートの結果、ニーズ調査を行わずに参入し、利用者獲得を優先する事業所や、福祉的知見のない営利法人による参入が目立っている。これがサービスの質の低下や利用者の権利侵害を招いている。

(2) 構造的な課題と「意図しない」報酬増

令和6年度改定後、当局が意図した方向とは異なる形で報酬算定が進んでいるケースが確認された。

  • 就労継続支援B型の事例: 令和6年度に「平均工賃月額」の算定方法を見直した結果、想定を大きく上回るペースで高い報酬区分に移行する事業所が急増した。これは、短時間利用者の計算方法(0.5人換算など)が功を奏した面もあるが、結果として給付費を大幅に押し上げ、制度の持続可能性を脅かす要因となっている。

3. 令和8年度「臨時・応急的な報酬見直し」の3骨子

持続可能性を確保するため、令和9年度の定期改定を待たず、令和8年度に以下の3点について応急的な措置を講じる方針が示された。

① 就労移行支援体制加算の適正化(A型事業所等)

  • 課題: A型事業所から一般就労した際に算定される加算について、同一法人の事業所間や、短期間での離職・再就職を繰り返すことで、不適切に何度も加算を取得する「回転ドア」のような事案(大阪の事案等)が報告されている。
  • 対策: 加算の算定人数に「定員数」を上限とするキャップをはめる方向で検討。また、同一利用者に対する複数回の加算算定を原則不可とする規定を告示上明確化し、不適切な利用を防ぐ。

② 就労継続支援B型の基本報酬区分の見直し

  • 内容: 令和6年度の算定式変更により底上げされた平均工賃の基準額を見直す。例えば、基準となる工賃額を数千円引き上げることで、報酬区分の適正化を図る。
  • 配慮措置: 激変緩和のため、「中間的な区分(例:区分1と2の間の1.5など)」を設けることや、もともと単価が低い下位区分(区分7・8)については基準を引き上げないなどの調整を行い、経営への直撃を避ける。

③ 新規開設事業所に対する報酬単価の抑制

  • 対象: 収支差率が高く、事業所が急増している「就労継続支援B型」「共同生活援助(グループホーム)」「児童発達支援」「放課後等デイサービス」など。
  • 措置: 令和8年度以降に新規開設される事業所に限り、既存事業所よりも低い報酬単価を適用する。これは営利目的の過度な参入を抑制し、給付費の伸びを抑えるための臨時措置である。既存の事業所については、この引き下げは適用されない。


4. 厚労省・こども家庭庁による検討会との今後の議論

当局側からは、現時点での方針と柔軟な検討の可能性が示された。

  • 決定ステータス: 令和8年度の見直しは、まだ検討チームの議論の最中であり、確定したものではない。今後、障害者部会等での報告を経て正式に決定される。
  • 事業承継の取り扱い: 現行制度でも、事業の継続性が認められる場合には、実態に応じて新規扱いとしない運用があり得る。令和8年度の措置においても、単純な新規参入と、既存の質を維持した承継をどう区別するかは今後の精査事項であるとした。
  • スケジュール: 通常であれば2月中旬に報酬改定の全体像が見えるが、今回は臨時かつ政治情勢(解散・選挙等の影響)も不透明なため、3月末にずれ込む可能性も否定できない。しかし、4月または6月の施行に向けて調整を急ぐ。

5. その他の議論(就労支援と工賃の実態)

  • B型の工賃実績: 会議中、埼玉県内の特定の社会福祉法人の事例が紹介された。月額工賃が7万円、生活介護でも3万円といった極めて高い実績を上げている事業所がある一方で、ゲームをさせるだけのような質の低い事業所も存在する。
  • 支給決定プロセスの適正化: 事業所が増える一方で、自治体による「支給決定」が形骸化している(セルフプランの横行やニーズ調査の欠如)ことも問題視されており、報酬だけでなく運用面のガイドライン改正も並行して進めている。