先駆的な高次脳機能障害者の就労支援を学ぶ|クロスジョブ阿倍野を視察:大阪市

26日夕方、金子訓隆代表理事は、山本博司前参議院議員とともに、大阪市阿倍野区にあるNPO法人クロスジョブが運営している「クロスジョブ阿倍野」を訪問いたしました。

クロスジョブ様は、高次脳機能障害がある方々への就労支援において全国的にも先駆的な取り組みをされており、今回はクロスジョブ顧問の小野寺徳子氏(元厚労省障害者雇用対策課長・元福岡労働局長)のご紹介により、大変貴重な意見交換の場に同席させていただきました。

■ 驚異的な就労定着率と専門的支援

視察では、理事の皆様、そして当事者の方(Aさん)から直接お話を伺いました。

特に印象的だったのは、その支援実績です。

  • 就労定着率: 1年後 94.2%、3年後でも 85.8% という極めて高い水準を維持されています。
  • 利用層: 40〜50代が全体の65%を占め、新規就労だけでなく「休職からの復職支援」にも力を入れられています。

■ 現場から見えた「支援の壁」

意見交換を通じて、高次脳機能障害を取り巻く深刻な課題も浮き彫りになりました。

  1. 医療と支援のミスマッチ脳神経外科等の医療現場で障害が見過ごされ、身体障害者手帳のみの交付に留まるケース。これにより、適切な専門支援に繋がれない現状があります。
  2. 移動とアクセスの課題記憶障害や見当識障害により、単独での通所(公共交通機関の利用)に高いハードルがあること。
  3. ネットワークの不足ハローワークや企業側における、高次脳機能障害への理解がまだ十分とは言えない現状。

■ これからの展望

当事者のAさん語られた「生の声」は、私たち支援に携わる者にとって非常に重みのあるものでした。

クロスジョブが提唱される「チャレンジしたい環境を選択できる社会」の実現には、医療・行政・支援機関が一体となった「包括ケアネットワーク」の構築が不可欠です。

特に大阪市においては、今後「高次脳機能障害者支援センター」の設置や地域協議会の立ち上げが期待されています。山本前議員とも連携し、こうした現場の切実な声を政策や議会へ反映させ、誰もが安心して働き、暮らせる地域づくりを推進してまいりたいと強く実感した視察となりました。

温かく迎えてくださったクロスジョブの皆様、ありがとうございました。


「クロスジョブ阿倍野」は、大阪市阿倍野区にある就労移行支援事業所です。NPO法人クロスジョブが運営しており、障害のある方が企業で働くための準備から就職後の定着までをトータルでサポートしています。

大きな特徴は、単なる「訓練」にとどまらず、「実際の企業での経験」と「自己理解」を非常に重視している点にあります。


1. 事業所の概要とアクセス

あべのベルタ内という利便性の高い場所にあり、ハローワーク阿倍野とも近いため、就職活動に動き出しやすい環境です。

  • 所在地: 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋3-10-1 あべのベルタ7F
  • アクセス:
    • Osaka Metro 谷町線「阿倍野駅」直結(徒歩約1分)
    • JR・御堂筋線「天王寺駅」から徒歩約6〜8分
    • 近鉄「大阪阿部野橋駅」から徒歩約6分
  • 定員: 20名
  • 対象: 精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、難病、高次脳機能障害などがある方

2. 支援の3ステップ

クロスジョブ阿倍野では、以下の流れで就職を目指します。

① 働く前の準備(自己整理)

PCスキルや軽作業(仕分け、梱包など)といった実務訓練に加え、「自分の障害特性」や「得意・不得意」を整理する時間を大切にしています。

  • 面談の重視: 月2〜3回の定期面談で、課題や目標をスタッフと共有します。
  • 体づくり: 近隣のトレーニングルームでの体力づくりメニューもあります。

② 企業体験実習

事業所内での訓練がある程度進んだら、実際の企業へ出向いて実習を行います。

  • 現場を知る: 実際の職場の雰囲気や、自分に合う仕事内容を体感できます。
  • ミスマッチ防止: 「何ができるか」だけでなく「どんな配慮が必要か」を明確にします。

③ 就職活動・定着支援

ハローワークへの定期的な訪問(週1回程度)や、履歴書添削、面接練習を行います。

  • 自己紹介シート: 自分の強みや配慮事項をまとめたシートを作成し、企業に正しく自分を伝える手助けをします。
  • 就業後のフォロー: 就職後もスタッフが定期的に職場を訪問したり相談に乗ったりすることで、長く働き続けられるよう支えます。

3. クロスジョブ阿倍野ならではの特色

  • 高次脳機能障害への専門性: 専門のスタッフ(作業療法士など)が在籍しており、高次脳機能障害のある方の復職や就職支援に強みを持っています。
  • 実践的な軽作業: 単なる練習ではなく、実際に流通する商品の出荷作業など、責任感と達成感を得られるプログラムがあります。
  • 「独りじゃない」安心感: 利用者同士のグループワークを通じて、悩みや工夫を共有できる場が用意されています。