国会議員と福祉現場のリーダーたちによる熱い議論「国会議員セッション」:埼玉県秩父市

埼玉県秩父市で開催された「アメニティフォーラム29」における、国会議員と福祉現場のリーダーたちによる熱い議論の全容をまとめました。本セッションは、長年の悲願であった「高次脳機能障害支援法」の施行への感謝と、次なる大きな山である「障害者基本法」の改正に向けた決意を共有する極めて重要な場となりました。

「国会議員セッション」
ありがとうございます!「高次脳機能障害者支援法」いよいよお願いします!「障害者基本法」の改正
(登壇者)
衛藤晟一(元一億総活躍大臣・元参議院議員)
福岡たかまろ(前厚生労働副大臣・参議院議員)
滝波宏文(前農林水産副大臣・参議院議員)
田畑裕明(衆議院議員)
宮路拓真(前外務副大臣・衆議院議員)
高木美智代(元衆議院議員)
山本博司(元参議院議員)
進行:新井豪(埼玉県議会議員)
指定討論者:水流源彦(全国地域生活支援ネットワーク)
      大原裕介(ゆうゆう理事長)
御礼の言葉:片岡保憲(日本高次脳機能障害友の会理事長)


1. 高次脳機能障害支援法の成立:見えない障害への光

2026年4月1日の施行を目前に控え、セッションは法案成立に関わった議員連盟への深い感謝から始まりました。

  • 当事者の悲願: 日本高次脳機能障害友の会の片岡理事長は、2017年から同フォーラムでこの課題を訴え続けてきた経緯を振り返り、10年以上にわたる当事者・家族の活動が実を結んだことに涙を浮かべて感謝を述べました 。
  • 法の目的と骨格: 衆議院議員の田畑裕明氏は、本法が31条の条文からなり、地域の生活・教育・就労支援、家族支援、そして各都道府県への支援センター設置(努力義務)を柱としていることを説明しました 。
  • 社会生活へのリハビリ: 参議院議員の衛藤晟一氏は、高次脳機能障害は医療と福祉の連携が不可欠であり、単なる日常生活動作の回復にとどまらない「社会生活へのリハビリ」と就労支援の重要性を強調しました 。

2. 障害者自立支援法からの20年:予算5.5倍の進展と地域変革

障害者自立支援法(現:総合支援法)の制定から20年が経過し、日本の福祉は「支えられる側」から「地域を支える側」へとパラダイムシフトが起きています。

  • 予算の拡大: 衛藤氏は、20年前は4,600億〜5,000億円程度だった国の障害福祉予算が、現在では2.6兆〜2.7兆円規模にまで拡大したことを指摘しました 。これは、制度を補助金から義務的経費へと切り替えた政治的決断の成果です 。
  • 新たな担い手としての障害者: 社会福祉法人「優優」の大原裕介理事長は、知的障害や精神障害を持つ若者たちが農業や林業(北海道での事例)を支え、地域の担い手不足を解消している実践を報告しました 。
  • 共生の価値: 障害者が高齢者施設で活動することで、殺伐とした空間が明るくなるなど、彼らの存在そのものが「社会を彩る価値」となっていることが語られました 。

3. 次なる課題:障害者基本法の改正に向けた6つの提言

2011年の改正から15年が経過し、現在の社会情勢や権利条約の理念に合わせた「障害者基本法」のアップデートが急務となっています。全国地域生活支援ネットワークの水流源彦理事長より、以下の6つの柱が提言されました

提言の柱内容の詳細
成果の明文化総合支援法20年の到達点を国家としての成果・誇りとして認めること。
優生思想の排除生きる価値を測られない社会であることを法律に明確に刻むこと。
社会を照らす存在障害者は「支えられるだけでなく、社会を豊かにする存在」であると定義。
対立から協働へ支援者、市民、行政、政治が対立ではなく協働する原理を明示する。
本人意思の尊重生活の場所やあり方は、本人意思を中心として形成されるべき。
世界への発信日本の共生モデルをアジア型の成熟モデルとして国際発信すること。

参議院議員の福岡資麿氏は、15年前とは異なり、現在は目指すべき方向性がよりクリアになっていると指摘しました 。行政府の論理(今のままでも運用できる)を超えて、「変えるべきだ」という現場の突き上げと政治のリーダーシップの重要性が確認されました


4. 結び:インクルーシブな社会は「全員」に優しい

参議院議員の滝波宏文氏は、「障害者に優しい社会は、健常者にとっても生きやすい社会だ」と述べ、バリアフリー化がベビーカーや高齢者にも裨益していることを例に挙げました

今回のセッションは、高次脳機能障害支援法の成立を「ゴール」ではなく「スタート」と位置づけ、次なる「基本法改正」という大きな山に向けて、与野党を超えた議員と現場が再びスクラムを組むことを誓い合う場となりました