眉山園で行われた「日本セルプ士会 視察研修会」に山本博司前参議院議員と参加:徳島県徳島市
1月22日・23日の2日間にわたり、徳島県徳島市にて開催された「令和7年度 日本セルプ士会 視察研修会」に、前参議院議員の山本博司氏とともに参加いたしました。
今回の研修テーマは「障害者福祉の現状・障害者雇用・就労とICT」。全国から障害者就労支援の専門家である「セルプ士」の方々が集まり、非常に熱気のある研鑽の場となりました。
徳島県に学ぶ「工賃全国1位」の秘訣
徳島県は、障害者就労施設における平均工賃額が全国トップクラスを維持し続けている「先進地」です。今回の視察では、その原動力となっている授産品のブランド化戦略「AWANOWA(あわのわ)」の具体的な取り組みを学びました。
単に製品を作るだけでなく、イベントや販売手法を工夫し、地域一体となって価値を高めていく姿勢は、私たち「輝HIKARI」の活動にとっても大きな刺激となりました。
研修内容と視察の様子
会場となったのは、日頃より交流のある障害者支援施設「眉山園」さまです。
眉山園には昨年10月に訪問させて頂き今回で2回目の訪問です。
- 施設見学・実践報告:
社会就労センターかもな等の見学を通じ、生産活動と支援の現場を直接拝見しました。眉山園の三橋園長(全国セルプ協副会長)からは、徳島県が取り組むブランド戦略や工賃向上への具体的なプロセスについて貴重なお話を伺いました。
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徳島県が推進する「障害者就労支援」の取り組みは、福祉の枠を超えた画期的なビジネスモデルです。平成19年の「工賃倍増計画」以来、同県は全国トップクラスの工賃成長を実現。その成功の舞台裏には、徹底したブランド戦略と経営者感覚がありました。
最大の武器は、共同ブランド「あわのプラス」の展開です。老舗菓子店やデザイナー等のプロを招き、和三盆スイーツや藍染製品を「消費者が欲しがる商品」へと磨き上げました。障害者アートを活用したファッションブランドは、大手通販フェリシモと連携し、半年で1,600万円を売り上げるなど、福祉製品のイメージを一新しました。
また、行政との強力な連携も不可欠な要素です。知事を本部長とする「優先調達推進本部」を設置し、県庁内に常設の相談窓口を設けることで、行政事務の切り出しや備品発注のワンストップ化を実現。年間1.7億円を超える安定した受注体制を構築し、運転免許センターや警察署内での職域拡大にも成功しています。
特筆すべきは、競合を避けて利益を最大化する「ブルーオーシャン戦略」です。野球場の売店や高速道路SAでの独占販売、さらには買い物難民を救う移動販売といった「社会課題解決の事業化」により、夏休み期間だけで1,000万円を売り上げる施設も現れました。営業活動においても、EQ(感情指数)の高い人材を配置し、民間企業への提案力を強化しています。
コロナ禍という危機においても、フェイスシールドの即時増産やデジタル化へのシフトで対応し、施設間の「絆」を深めながら乗り越えました。徳島県の事例が示すのは、福祉現場こそ「最高のクリエイティブ」と「戦略的な経営」が必要であるという点です。「自ら考え行動する」リーダーシップが、想いを価値に変え、持続可能な稼ぐ仕組みを創り出したのです。
続いて山本博司前参議院議員の基調講演です。
- 山本博司氏による講演:
「障害者福祉の現状・障害者雇用・就労とICT」と題し、山本氏が約1時間にわたり登壇されました。 - 18年間に及ぶ政治活動での知見
- 農福連携の推進
- 障害者優先調達推進法を活用した、国立国会図書館の蔵書デジタル化(日本財団プロジェクト)
など、ICTを駆使した新しい職域創出の事例が紹介されました。
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2026年1月22日、徳島県で開催された全国セルプ士会研修会での、前参議院議員・山本博司氏による講演内容を要約しました。
【要約】障害者施策の現状と雇用・就労環境:デジタル化による工賃向上の新時代
元厚生労働副大臣の山本博司氏は、2025年7月に18年間の国会議員生活を勇退後も、障害福祉をライフワークとして活動しています。本講演では、自身の経験に基づいた政治理念と、「デジタル化による工賃向上」の具体策が語られました。
1. 政治家としての原点:娘が教えてくれた「当たり前の幸せ」
山本氏の活動の根源には、重度知的障害と自閉症を持つ長女の存在があります。制度が未整備だった36年前、育児に奔走する中で「当たり前の日常に幸せを感じる感性」を娘から学び、恩返しの思いでIT企業から政界へ転身しました。在職18年間で19本の法律制定に関わり、障害福祉予算を約0.6兆円から約4.2兆円へと拡大させるなど、基盤整備に尽力してきました。
2. 障害者雇用の変遷と拡大する支援
現在、障害者雇用数は約70万人に達し、法定雇用率も段階的に引き上げられています。
- 短時間雇用のカウント: 週10時間から20時間未満の勤務も雇用率に算定可能となり、精神障害者等の就労機会が拡大しています。
- 企業の意識変容: 障害者雇用に積極的な企業では、業務の可視化により全体の生産性が向上し、離職率が下がるという「ダイバーシティ就労」の価値が認められ始めています。
- 伴走型支援の創設: 中小企業の雇用を支援する「障害者雇用相談援助事業」が始まり、ノウハウ不足の企業を地域で支える体制が整いつつあります。
3. 就労継続支援の課題と「農福連携」の成果
福祉的就労から一般就労への移行は20年間で20倍に増えましたが、工賃水準は依然として大きな課題です。山本氏は2015年に国会で初めて「農福連携」を提唱し、農業の担い手不足解消と障害者の役割創出を両立させる仕組みを確立しました。この流れは今や政府の重要施策として定着しています。
4. 劇的な工賃向上を狙う「デジタル化プロジェクト」
現在、山本氏が最も注力しているのが、障害者優先調達推進法を活用したデジタル化事業です。
- 国立国会図書館のデジタル化: 日本財団が高度なスキャナーを無償提供し、施設が大型案件を受注するモデルです。優先調達の上限撤廃により、数億円規模の契約が可能となりました。
- 工賃の跳躍: これまで月額平均2万円程度だったB型事業所の工賃が、このプロジェクトにより8万〜9万円にまで引き上がる事例が出ています。
- 自治体DXへの波及: 国会図書館だけでなく、自治体の公文書や図面のデジタル化ニーズは膨大です。山本氏はこれを全国47都道府県へ展開するため、知事や市町村長への働きかけを強化しています。
5. 未来へのビジョン:生成AIと「わくわくする仕事」
今後の展望として、生成AIを活用した発達障害者の就労支援や、職員のITスキル向上を挙げました。「世のため人のためになり、かつ自分も成長できる仕事」こそが、利用者の幸福に繋がります。山本氏は、全国のセルプ士会がこのデジタル就労の牽引役となることに強い期待を寄せ、講演を締めくくりました。
輝HIKARIとしての今後の展望
今回の視察を通じて再確認したのは、「生産活動と支援の原点」に立ち返ることの大切さ、そしてICT等の新しい技術をいかに雇用に結びつけていくかという視点です。
山本氏が紹介されたデジタル化プロジェクトなどの先進事例は、今後の障害者雇用の可能性を大きく広げるものです。私たち「輝HIKARI」も、今回の研修で得たヒントを活かし、利用者の方々にとって「今、何が必要か」を常に問い続け、より良い就労支援・生活支援の形を追求してまいります。
主催いただいた日本セルプ士会、全国社会就労センター協議会の皆様、そして温かく迎えてくださった眉山園の皆様に心より感謝申し上げます。






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