第1回 障害者雇用サポートセミナーが開催:さいたま市中央区
令和7年度 第1回 障害者雇用サポートセミナーが行われました。
場所は、さいたま市中央区にある、与野本町コミュニティーセンターです。

このセミナーでは2つ講演が行われました。
今回は、埼玉労働局 職業安定部 職業対策課雇用開発係長より「令和7年度障害者雇用助成金制度について」と題してお話しされた内容についてまとめています。
内容は以下の通りです。
以下に、2025年6月13日開催の「令和7年度 障害者雇用サポートセミナー」における埼玉労働局職業対策課による講演「令和7年度 障害者雇用助成金制度について」の内容を要約しました。
## 【要約】令和7年度 障害者雇用助成金制度について
### 1. 障害者雇用の現状と背景
障害者雇用を巡る制度は、法定雇用率の引上げや除外率の見直しなど、年々厳格化されています。令和8年7月からは法定雇用率が2.7%に引き上げられ、従業員37.5人に1人の割合で障害者の雇用が求められます。令和6年時点で埼玉県内の障害者雇用数は約1万8000人、10年前の約1.6倍。障害者の就職件数も令和5年度は過去最高を更新し、年々拡大傾向にあります。
### 2. 助成金制度の基本構造
雇用関係助成金は、雇用保険法に基づく「雇用保険二事業」(第62・63条)を財源とする制度で、企業による障害者雇用の取り組みに対し、財政的支援を行うものです。助成金は企業が拠出する雇用保険料のうち、事業主負担分が原資となっており、目的は「失業の予防」「職業の安定化」「人材開発の促進」など。
代表的な助成金制度には以下のものがあります:
## 3. 主な助成金の解説
### A. 障害者トライアル雇用助成金
#### ◆制度概要
* 有期雇用(原則3か月)により、障害者と企業が相互に適性や職場環境の適合性を確認する制度。
* 週20時間以上の勤務が基本条件。
* 雇用開始後、2週間以内にトライアル雇用実施計画書を提出。
#### ◆対象者
* 障害者手帳保有者で、直近6か月以上の離職者、または過去2年で2回以上離職歴のある者など。
* 在職者は原則対象外だが、精神障害者や45歳以上の中度障害者は例外として対象。
#### ◆助成額と期間
* 精神障害者:最長6か月、最初の3か月は月額8万円、以後月額4万円。
* その他障害者:3か月間、月額最大4万円。
#### ◆短時間トライアルコース(新設)
* 週20時間未満での雇用を試すコース。期間は最長12か月、月額最大4万円。
### B. 特定求職者雇用開発助成金(障害者コース)
#### ◆制度概要
* 障害者等の就職困難者を、ハローワークまたは民間職業紹介事業者の紹介により雇用する企業に対し助成。
#### ◆対象者
* 65歳未満の障害者手帳保持者。
* 雇用形態は正社員、または自動更新前提の有期雇用であることが条件。
#### ◆助成額と支給方法
* 週30時間以上勤務:半年ごとに30万円×4回(2年間)=最大120万円。
* 重度・精神障害者:半年ごとに40万円×6回(3年間)=最大240万円(※大企業は助成額・期間が縮小)。
* 週20~30時間勤務者(短時間労働者):支給額は上記より減額。
#### ◆主な不支給要件
* 過去3年以内に雇用歴のある者を再雇用した場合。
* 採用した労働者と身内関係がある場合。
* 採用前後6か月間に会社都合による解雇や特定受給資格者の離職が一定以上発生している場合。
### C. 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金(新設)
#### ◆制度概要
* 障害者手帳を持たない発達障害者・難病患者等を雇用した事業者への助成。
* 対象者は65歳未満で、雇用保険の一般被保険者として継続雇用が見込まれる方。
#### ◆助成額(雇用形態に応じて)
* 週30時間以上勤務:30万円×4回(2年間)。
* 週20~30時間勤務:20万円×4回。
* 大企業は助成額が縮小。
### 4. 制度の利用上の注意点
* 助成金は「人を雇う」ための制度であり、同時に「解雇」があった場合には対象外となるケースがある。
* 採用者が6か月以内に退職した場合、助成金は不支給となる。
* A型事業所等における離職者率が高い場合、特定助成金が不支給となる可能性がある(過去の不正請求への対策)。
## 5. トライアル雇用と開発助成金の関係
令和3年度から、障害者トライアル雇用を実施した場合、その後の特定求職者雇用開発助成金の「第1期分(6か月間)」は支給対象外とされる仕組みに変更。両者の併用は不可で、事業者はどちらかの制度を選択する必要がある。
## 6. 助成金活用の意義と今後の展望
講師は「助成金は企業が払った雇用保険料の還元であり、適切な活用が望まれる」と強調。条件は多岐にわたるが、計画的に制度を利用することで障害者雇用の促進に寄与することが可能。また、初めて障害者を雇用する企業こそ、トライアル雇用や助成制度の活用を検討すべきとされる。
## 7. 最後に
助成金は制度として複雑だが、申請時にはハローワークや労働局に早めに相談をすることで、確実な運用が可能となる。障害者雇用は社会貢献のみならず、企業のダイバーシティや職場の柔軟性の向上にも資するものであり、今後も制度の周知と積極的な活用が求められる。
以上
セミナーで行われたもうひとつ事例発表「障害者雇用の取り組みについて」〜未達成企業からの脱出〜
株式会社ビーテック 生産部生産課係長 根岸和行氏
の講話については、改めて掲載します。