第12回日本小児診療多職種学会に参加(1):山形市

2月7日・8日は、当団体の金子訓隆代表理事は、山形県山形市に向かい、やまぎん県民ホールで開催された「第12回日本小児診療多職種学会」に参加いたしました。

https://www.shouni-tashokushu2026.com

本学会の事務局は「株式会社リニエR」で会頭は竹中佐江子氏(リニエR取締役)です。
リニエ社は「リニエL・リニエR」と共に、山本博司前参議院議員と共に交流をさせて頂きました。

山本博司前参議院議員と共に、リニエグループ本社を訪問いたしました:大阪市

12月1日の夕方、山本博司前参議院議員に同行させていただき、大阪市内にある(株)リニエL本社を訪問いたしました。 地域リハビリテーションの最前線で活躍される「リニエグ…

PT・OT・STなどの専門職をもっと児童の療育分野へ!支援の未来を拓く「リハビリテーション懇談会に参加:永田町

昨日23日の午後、参議院議員会館におきまして、山本博司前参議院議員主催による「リハビリテーションに関する懇談会が開催され、輝HIKARIの金子代表理事も同席させていた…

日本小児診療多職種研究会は、2024年7月に一般社団法人 日本小児多職種学会として、法人化を機に、これまで以上に地域での多職種の連携を深め、小児診療分野における質の高いケアの実現と、子どもたちやご家族を支える取り組みを進めています。

https://n-syounisinryou-t.jp

医師・看護師・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師・保育士など専門職の方々が「小児の支援」をみんなで語り合う学会となっています。

学会最初の講演は、会頭の竹中佐江子氏から「会頭講演:竹中佐江子「 その子の小さな手に大きな未来を~子どもたちと共に創る社会へ~」

作業療法士としての20年:小児・地域支援の変遷と展望(要約)

本講演は、病院勤務から地域、そして研究の道へと歩んできた作業療法士による、小児領域における支援の課題と実践を振り返ったものです。

1. キャリアの原点と地域への転換

竹中氏はキャリア初期、小松記念病院で脳性麻痺(CP)など小児リハビリテーションの基礎を学びました。転機となったのは、介護保険制度が開始された2000年頃(6年目)です。訪問リハビリを通じて地域に出たことで、病院での「動作訓練」と、生活の場での「暮らしを支える支援」の視点の違いに直面しました。また、オーストラリアでのインターンシップを通じ、学校現場におけるOTの日常的な関わり(インクルーシブな支援)を目の当たりにし、日本の現状との乖離を実感しました。

2. 都市部におけるリソース不足と人材育成の課題

東京へ拠点を移した際、人口規模に対し小児分野のOTリソースが圧倒的に不足している現実に衝撃を受けました。「経験がないから高齢者しか診られない」という療法士側の不安と、支援を求める家族のニーズのミスマッチを解消するため、若手が小児分野に参入できる「仕組み作り」に着手しました。アメリカのように学校にOTが配置される体制を目指し、100人で1000人を支えるような効率的かつ専門的な支援体制の構築を模索しています。

3. 多職種協働と制度外の支援

医療的ケア児支援法の制定により、地域や教育現場での支援は前進しつつあります。講演者はNPO法人での「医療的ケア児キャンプ」を通じ、制度の枠組みを超えた支援を実践しています。そこでは、多職種が自然な形で協働し、親子の絆や「遊び」を支える重要性が示されました。PT・OT・STが互いの専門性を理解し合うことで、より質の高い「活動と参加」へのアプローチが可能になると説いています。

4. 研究を通じたエビデンスの構築と本人の可能性

現在は博士課程において、放課後等デイサービスや地域支援の可視化に取り組んでいます。研究からは、親子の自己効力感を高めるためには「子供の発達段階に即した適切な相談」が鍵であることが明らかになりました。
最後に、大学受験に挑戦した脳性麻痺の女性の事例を通じ、障害があっても「自分の希望を見つければ困難を乗り越えられる」という本人の意思と、それを支える合理的配慮、そして本人の可能性を最大限に引き出すリハビリテーションの使命を強調しました。


その他、教育講演②講師:田中総一郎「 医療的ケア児の暮らしを支え、未来を拓く-在宅医療における多職種連携の重要性-」

講演要旨:地域で支える小児在宅医療と災害対策

本講演は、仙台市を拠点に約10年間で160人以上の患者と向き合ってきた小児訪問診療の現場から、在宅での看取り、日常的なケアの工夫、そして災害時への備えについて語られたものです。

1. 小児訪問診療の役割と家族への支援

かつての医療は病院と患者が直結していましたが、現在は「家で過ごしたい」というニーズに応えるため、訪問診療がその間を繋いでいます。講師が関わった10年間で36人の子供たちが自宅で最期を迎えました。
重い障害や病気を持つ子供を育てる母親たちは、しばしば「自分のせいで子供に障害を負わせた」と自責の念に駆られています。しかし、自宅で穏やかな表情を見せる子供たちの姿を通じ、医師や支援者は「子供たちは親を育てるために、笑いかけるために生まれてきたのではないか」と伝え、家族が自分らしさを取り戻せるよう伴走しています。

2. 医療技術を生活の知恵に変えるアプローチ

在宅生活を維持するためには、急性期病院との連携に加え、日常的な「予防」が不可欠です。

  • 呼吸リハビリテーション: 背中に溜まりやすい痰を出すため、理学療法士や看護師と協力し、肩甲骨周りの柔軟性を高めるケアを家族やヘルパーに伝習しています。これにより、毎月肺炎で入院していた子が、1年以上入院せずに過ごせるようになった事例もあります。
  • 多職種連携: 吸引や体位変換といった手技を、医療者だけでなく、学校の先生やヘルパーとも共有し、チーム全体で子供の生活を支える体制を構築しています。

3. 災害対策:命を守るための具体的な備え

医療的ケア児にとって、停電は生命の危機に直結します。

  • 電源の確保: 人工呼吸器や吸引器の消費電力を正確に把握し、ポータブル電源や発電機、車のインバーターの活用を推奨しています。特に、カセットガス発電機の使用時には一酸化炭素中毒に注意するなど、実践的な指導を行っています。
  • 個別計画の策定: 避難所へ行くべきか、自宅に留まるべきか。地域の特性(浸水域や建物の耐震性)を考慮し、事前のシミュレーションを行うことの重要性を強調しています。

その他ポスターセッション・パネルディスカッションなど様々な議論がなされました。