高次脳機能障害支援の先駆者「なやクリニック」を視察:堺市

先日1月26日、当団体の金子訓隆代表理事は、山本博司前参議院議員、そして公明党の堺市議会議員の皆様(大西耕治議員、大林健二議員、小野伸也議員)と共に、堺市にある「なやクリニック」を視察させていただきました。

今回の視察には、元厚生労働省の障害者雇用対策課長であり、元福岡労働局長の小野寺徳子氏(NPO法人クロスジョブ顧問)や、NPO法人クロスジョブの皆様も同行され、医療・福祉・行政の垣根を越えた非常に濃密な意見交換の場となりました。

地域に根ざした「高次脳機能障害」支援の最前線

なやクリニックの納谷敦夫院長は、ご自身のご子息が交通事故で高次脳機能障害を負われたことをきっかけに、2007年から専門外来やデイケア、ショートケアを推進してこられた、この分野の先駆者です。

視察では、納谷院長や田中有見医師、俵あゆみさんから、高次脳機能外来やデイケアの現状について詳しくお話を伺いました。

特に印象的だったのは、英国のオリバーザングイルセンターの手法を取り入れた「グループによる神経心理学的認知リハビリテーション」の現場です。専門職(医師、看護師、OT、ST、PT、精神保健福祉士、公認心理師など)総勢24名のスタッフが連携し、一人ひとりの患者さんに深く向き合う体制には、同じ支援の道を歩む者として大きな感銘を受けました。

堺市を「支援日本一」の街へ

現在、堺市では「堺市健康福祉プラザ」内の生活リハビリケアセンターが拠点となり、相談支援や自立訓練が行われています。しかし、納谷院長が仰るには、まだまだ課題は山積みです。

  • 専門医の不足
  • 医療機関から地域生活へのスムーズな移行
  • 教育現場(学校)での支援体制の未整備
  • 就労支援や家族支援のさらなる拡充

これらは、私たち「輝HIKARI」が向き合っている課題とも深く共通しています。

今回の視察を通じて、今年施行された「高次脳機能障害者支援法」の実効性をいかに高めていくかが焦点であることを再確認しました。

山本前議員や市議会議員の皆様は、今回の視察を反映し、堺市議会での質問や、国の報酬改定・予算拡充へ繋げていく決意を語られていました。私たちNPO法人 輝HIKARIも、こうしたネットワークとしっかりと連携し、当事者やご家族が孤立せず、希望を持って暮らせる社会づくりに邁進してまいります。

納谷院長をはじめ、なやクリニックの皆様、そして貴重な機会をくださった関係者の皆様、本当にありがとうございました。



納谷 敦夫 医師 プロフィール

略歴

  • 1972年: 大阪大学医学部 卒業
  • 大学卒業後: 臨床研修を経て、民間病院等に勤務
  • 1978年: エディンバラ大学医学部精神科にて臨床研修
  • 1980年: 大阪府立中宮病院(現・大阪精神医療センター)勤務
  • 1986年: 大阪府庁に入庁
    • 精神保健、医療、保健福祉分野を歴任。
    • 健康福祉部長時代には、大阪府で「高次脳機能障害モデル事業」を実施。
    • 総合リハビリテーション部や障害者自立センターの創設に尽力。
  • 2007年: なやクリニック(堺市)を開設
  • 2017年: 高次脳機能障害者のための生活介護施設「ヘッドウェイさかい」を創設

主な活動・役職

納谷医師は、単なる診療にとどまらず、患者や家族の生活を支えるための社会的な仕組みづくりを推進しています。

  • 高次脳機能障害支援: グループリハビリテーション(2008年〜)やグループホーム(2012年〜)の創設・運営。
  • 地域貢献: 「高次脳機能障害支援が日本一の堺市へ」という目標を掲げ、行政や福祉施設と連携した活動を継続。

診療・相談について

なやクリニックでは、主に以下のような専門外来や支援を行っています。

  • 専門科目: 高次脳機能障害外来
  • 支援内容: 事故や病気による脳損傷後の後遺症(記憶障害、注意障害、感情コントロールの難しさなど)に対するリハビリテーションおよび生活支援。

クリニック情報

  • 所在地: 大阪府堺市中区(北野田駅近郊)
  • 電話番号: 072-236-4176