第35回BlueSky勉強会が開催:永田町
【「ITの領域を超え、世界中の生活を支えるプラットフォームへと進化した~Zoom~活用の可能性について」第35回BlueSky勉強会】

22日夕方から参議院議員会館にて山本博司事務局が運営する、第35回BlueSky勉強会を開催しました。
当団体の金子訓隆代表理事はこの事務局のメンバーとして運営に参加しています。
Bluesky勉強会は平成26年8月に第1回の勉強会を開催以来、ICTの利活用など情報通信の分野を中心に、これまで34回にわたり議論を進めてまいりました。
第35回勉強会は、ハイブリット開催し、会場へは約40名が参加。
オンラインも含め約60名の方々にご参加いただきました。
内容は以下のとおり
(1)「あいさつ」 山本 博司 参議院議員
(2)「「持続可能な活力ある地域社会の実現に向けた取り組みについて」新田一郎 / 総務省 大臣官房審議官
(3)「ITの領域を超え、世界中の生活を支えるプラットフォームへと進化した~Zoom~活用の可能性について」
下垣 典弘 / ZVC JAPAN株式会社 代表取締役会長兼社長(Zoom Video Communications, Inc.の日本法人)
山本博司参議院議員の挨拶のあと、総務省 新田大臣官房審議官より「持続可能な活力ある地域社会の実現に向けた取り組みについて」と題して講演がありました。

以下は講演内容を要約したものです。
総務省審議官の講演要約
日本の統治構造と地方自治体の役割
・日本では多くの行政サービスを地方自治体が担っている。
・ごみ処理、消防、警察、教育、社会保障など住民生活に密接した業務は自治体が主体で行うが、財源は国が6割、地方が4割と偏っている。
・この格差を是正するため、地方交付税や国庫支出金を通じて財政移転を行い、全国の自治体が最低限の行政サービスを提供できる仕組みがある。
1.地方財政の現状と課題
・地方自治体は長年にわたりインフラ整備などの投資的経費を削減し、財政健全化を進めてきた。
・一方で社会保障費の負担が急増。地方自治体の多くがこの支出に苦しんでいる。
・非正規雇用の拡大や人件費削減でしのいできたが、賃上げ圧力や金利上昇が新たな課題となっている。
・地方の借金は減少傾向にあるものの、国と比較して財政運営の自由度が低い。
2.人口減少と少子化の深刻化
・日本全体で人口が減少しており、特に地方では顕著。島根県や秋田県などでは40%以上の人口減少が予測される地域もある。
・東京は一部例外として人口増加が続いており、地方と都市部の格差が広がる。
・少子化に対応するため、児童手当の拡充や妊娠・出産支援、大学進学の支援などが進められているが、自治体への負担が増加している。3.地方活性化への取り組み
・デュアルライフの推進: 都市部と地方の二拠点生活を支援し、住民票の移動を促すことで地方税収を増やす取り組み。
・地域活性化企業人制度: 企業に勤める人材が地方自治体で一定期間活動する仕組みを推進。社員研修と地域貢献を両立。
・地域おこし協力隊: 若者やシニア世代が地方に移住し、地域活性化に関わる取り組み。地方に定住する割合は約6割。
4.デジタル化による課題解決
・不登校対策や教育支援: メタバースを活用した学校生活の提供や学び直しの支援。
・医療・介護の遠隔化: 医師や介護職員不足に対応するため、遠隔医療・介護の普及を推進。
・自動運転やスマート農業: バスや鉄道、農業分野での自動化を推進し、人手不足に対応。
・災害対応: 降雪や豪雨対応でIT技術を活用し効率的な除雪や防災を実現。
5.持続可能な地方財政のために
・自治体の財源を確保するため、国はデジタル活用推進事業体の創設や自治体のデジタル化への補助を拡大。
・地域課題に即した解決策の提示が重要であり、企業や民間団体の協力が不可欠。
・自治体の人材不足を解消するため、民間経験者やシニア人材の活用を進める。
6.今後の日本の在り方と提言
・地方の活性化と格差是正が重要課題。国民が全国どこに住んでも一定のサービスを受けられる仕組みを維持すべき。
・地方の課題を解決するため、デジタル技術を活用した具体的な取り組みが求められる。
・地域住民や自治体と企業の連携による課題解決が、日本全体の持続可能性に寄与すると期待される。
その後は、「ITの領域を超え、世界中の生活を支えるプラットフォームへと進化した~Zoom~活用の可能性について」と題して ZVC JAPAN株式会社の下垣代表取締役会長兼社長からご講演頂きました。

下垣社長の講演要約
1.ZOOMの基本理念とビジョン
・ZOOMは「デリバリングハピネス(幸せを届ける)」を企業文化の基盤としており、顧客の声を事業に最大限反映させる姿勢を貫いている。
・創業者エリックCEOは、2035年までに遠隔地の人々同士が「匂いや触覚まで共有できる体感型コミュニケーション」を目指している。
2.コミュニケーションの進化
・コロナ禍を経て、ZOOMは単なるビデオ会議ツールから、体験記憶に近い「臨場感あるコミュニケーション手段」を提供する存在へと進化。
・パンデミック後も利用者は増加し続けており、ハイブリッドワークやオンライン会議の新たな価値を生み出している。
3.日本市場での取り組み
・日本法人として、ZOOMは「移転価格税制」を活用し、日本国内での税金納付を実現。外資系企業が税金を適正に納める姿勢を示し、社会貢献を目指している。
・日本の地方自治体や教育機関との連携を強化し、不登校生徒や災害対策にも役立つツールを提供。
・特に地方自治体のDX化を支援し、住民サービスの効率化を図る試みを行っている。
4.AIと新たな可能性
・AIコンパニオンの導入により、会議の要約、議事録作成、電話営業のパフォーマンス向上などをサポート。
・言語の壁を超えるリアルタイム翻訳機能を強化し、国際的なコミュニケーションを円滑に。
・教育分野ではギガスクール構想に対応し、AIを活用した柔軟な学びの環境を提供。
5.コスト削減と効率化
・企業や自治体が通信費を最大70%削減可能な仕組みを提供。従来のPBX(交換機)を置き換え、IP電話を基盤とした効率的な通信インフラを推進。
・ZOOMの無償機能を活用し、小規模な自治体や企業が手軽にDXを進める環境を提供。
6.今後の展望
・日本の観光産業や地域振興に貢献するため、高知県のよさこい祭りのようなイベントを世界に発信するオンラインプラットフォームを構築予定。
・教育や医療、災害対策などでのZOOMの役割を拡大し、日本全体のテクノロジー活用を底上げする。
今後のZOOM活用のポイント
- 教育分野
不登校生徒への遠隔授業提供や、国内外の教育リソースへのアクセスを支援。 - 地方自治体のDX化
オンライン窓口の設置により、住民が支所に足を運ばずとも行政サービスを受けられる仕組みを提供。 - 企業の生産性向上
AIコンパニオンの活用で、会議や営業活動の効率を高め、離職率低下や採用コスト削減に貢献。 - 国際交流の促進
リアルタイム翻訳機能を活用し、日本企業や地域がグローバルな舞台での競争力を向上。 - 観光・文化発信
ZOOMイベントを活用して地域文化を世界へ配信し、インバウンド観光を活性化。
結論
ZOOMは単なるビデオ会議ツールに留まらず、AIやクラウド技術を活用した包括的なコミュニケーションプラットフォームとして、日本社会の多様な課題解決に寄与する。特に教育、行政、観光など幅広い分野での可能性を秘めており、これからの日本のDX推進を支える重要な存在となることが期待される。
AIを搭載したZOOMの先進的な取り組みを、デモを交えてご紹介頂きました。
また今回のBluesky勉強会は、ZVC JAPAN(株)のご協力により、初めてZOOM動画をyoutubeで生配信いたしました。