さいたま市内の就労継続B型事業所の工賃向上について

25日午前、社会福祉法人埼玉福祉事業協会の会議室にてヒアリング検討会を行いました。
この検討会の参加メンバーは以下の通り

参加者:
社会福祉法人埼玉福祉事業協会 髙橋清子理事長
さいたま市議会議員
上三信彰市議会議員齊藤健一市議会議員服部剛市議会議員
保護者:藤牧誠さん

当団体代表理事の息子も今年度から社会福祉法人埼玉福祉事業協会に通所していることにより保護者として参加しました。
検討会の議題は「さいたま市内の就労継続B型事業所の工賃向上に関するヒアリング」です。

厚生労働省が発表している「令和4年度工賃(賃金)の実績について 」より、就労継続支援B型事業所の月額平均工賃は17,031円です。
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001220331.pdf

上記資料によると、47都道府県別で埼玉県は平均を下回る工賃で月額平均工賃は、15,024円です。
これは47都道府県中44番目という結果となっています。

また政令市であるさいたま市は埼玉県の平均工賃より下回る数字で15,000円以下。
現状、就労継続支援B型事業所に通所する方は自立がほどとおい状態になっています。

埼玉県では、就労継続支援B型事業所の工賃向上計画に基づき、向上を目指しています。こちらの資料によると、月額2万円を目指していますが、まだ目標数値にはほど遠いとなりました。

https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/19624/hpr3koutinkoujoukeikaku.pdf

この中で、さいたま市内に約84ヶ所ある就労継続支援B型事業所の中でもダントツで、平均工賃を出しているのが、社会福祉法人埼玉福祉事業協会が運営する「ゆずり葉」と「多機能型事業所あかしあの森」です。
さいたま市の平均工賃の4倍を出しています。(平均6万円)

この背景の中で、さいたま市の平均工賃が何故低いのか?そして、埼玉福祉事業協会はどのようにして、これだけの工賃を出せる仕組み作りが出来ているのか?など、髙橋清子理事長からお話を伺いました。

髙橋理事長曰く「本来一般企業と価格勝負をした場合、低賃金であり、設備投資についても補助をもらっている法人が、価格で負けるわけがない。後はその質の問題であり『障害のある人が作っている』ということを全面に押し出して売ろうとするから売れない」と言われました。

参加された3名の市議会議員の方々には、低工賃でずっと訓練を受けている事業所についてはキチンと監査を行って頂き、専門家などの派遣も行い、埼玉県が計画している工賃向上計画に基づき調べて頂きたいと要望しました。

このヒアリング検討会がキッカケで、少しはさいたま市内の就労継続支援B型事業所の月額平均工賃が、現状より上回ることを期待しています。


●会議録要約
さいたま市 就労継続B型事業所 工賃向上に関する提案と議論

発言者 髙橋清子(埼玉福祉事業協会 理事長)
専門職人を雇用することで障がいのある人の工賃が向上するだけでなく、地域で障がい者が活躍できる場を増やすため、フィットネスジム、レストラン、コンビニなど様々な職種の拡大を図っています。一般の企業では健常者が多数を占めるのに対し、当事業所では障がい者の方が多く、健常者は少数派です。A型事業所は最低賃金を保証し、B型の工賃も向上させることで、障がい者支援が特別なことではないという社会を目指しています。品質の高い製品を作り、他社と競り合えることを証明し、どの事業所でも専門職人を雇えば実現可能だとしています。

具体例と課題
協力会との関係を強調し、地域企業とのウィンウィンの関係を築くことで販路を拡大しています。地域企業と連携し文房具を地域の企業から購入するなど、地域経済への貢献も目指しています。企業のボランティア参加やイベントでの販売活動を通じて販路を拡大し、障がい者の仕事を創出しています。しかし、一部の事業所では職員が不足し売れる商品がないために参加できないという問題も指摘されています。

障がい者支援の理念
専門職人に障がい者支援を学んでもらい、高品質の製品を作ることで、福祉事業者の固定観念を払拭し、地域企業との連携を強化しています。地域の企業との関係を深めることが障がい者支援の持続可能性に寄与すると強調しています。

民間企業との協力
民間企業との協力を通じて障がい者が企業でも働ける社会を目指し、障がい者の納税者化を推進しています。例えば、特別支援学校を卒業してお絵かきやドライブをしている人たちを配達やデザイン、販売などの仕事に転換することで、税金の使い道を効率化し地域の改善を図っています。

提案と具体的施策
地域で障がい者が活躍するための施策として、専門職員を雇用し、企業や地域と連携し、販売活動を通じて障がい者の自立を支援しています。また、共同受注や共同仕入れを活用し、原材料費を削減するなど、効率的な運営を目指しています。

障がい者支援の現状と課題
地域企業との連携や専門職人の雇用が課題であり、これを改善することで障がい者の工賃向上を目指しています。また、地域企業との協力を通じて販路を拡大し、障がい者の自立を支援する仕組みを強化しています。

総括
障がい者支援は特別なことではなく、地域や企業と連携し、持続可能な形で実現可能であることを示すため、専門職人の雇用と地域企業との協力が重要です。障がい者が自立し納税者となる社会を目指し、地域全体で障がい者支援を推進することが必要です。

まとめ
髙橋清子理事長は、専門職人の雇用、地域企業との連携、障がい者の自立支援の重要性を強調し、具体的な施策として共同受注や販路拡大の取り組みを紹介しています。障がい者支援を特別視せず、地域全体で支える仕組みの構築が提案されています。