トライアングルプロジェクトについて懇談:朝霞市

18日の夕方は、埼玉県朝霞市にある「ミソラ食堂」にて、特別支援を要する児童の支援の在り方として「トライアングルプロジェクト」について懇談を致しました。

キッカケは当団体の金子代表理事が、10数年前から交流のある熊上藤子さんからご連絡があり、「埼玉県内でのトライアングルプロジェクトの進捗と支援体制はどのようになっているか?」という相談からでした。

熊上崇さん、熊上藤子さんご夫妻とはいつも交流を重ねており、改めてこのトライアングルプロジェクトについてご相談がありました。

●熊上崇さんプロフィール
https://x.gd/1LtqB

●熊上藤子さんプロフィール
https://x.gd/ckPse

そういうご相談ということでしたら、一度、懇談の機会を設けてまずはブレインストーミングとして、特別支援全般に関わる意見交換の場を設けようと、金子代表理事から提案を行いました。

今回、この懇談には、小早川一博埼玉県議会議員齊藤健一さいたま市議会議員もご同席頂き、また地元朝霞市在住の小野寺徳子さんにも同席頂き、埼玉県(特に朝霞市内)でのトライアングルプロジェクトに確認しました。

「ミソラ食堂」オーナーの松澤さんも、お子様が重度の知的障害があり、朝霞市内で支援活動に取り組んでいる立場でもあり、計7名での懇談となりました。

約2時間近くの懇談で、特別支援教育について、また朝霞市での障がい児支援の状況、そして埼玉県で行っている福祉・教育の連携支援、さいたま市内でのトライアングルプロジェクトの取り組みなどお聞きして、実際に不足している支援、親御さんからの立場としての要望など多岐に渉り意見交換をしました。
また今後も埼玉県内のトライアングルブロジェクトについて確認をしていき、充実を図っていく狙いとして、継続的な意見交換を行っていきます。


トライアングルブロジェクトとは?
「トライアングルプロジェクト」は、文部科学省(文科省)と厚生労働省(厚労省)が連携して進めている、障害のある児童に対する支援体制の整備・充実を目指す取り組みの通称です。教育分野(学校や教育委員会など)・福祉分野(市町村や相談支援事業所・専門家)・そして家庭との三者が連携し、子どもとその保護者を中心に「三位一体」となる包括的な支援を実現することを目的としています。以下に主なポイントをまとめます。


1. 事業の背景・目的

  • 切れ目のない支援の必要性
    発達障害や様々な障害をもつ子どもが、乳幼児期から学齢期を通じて、適切な医療的ケアや教育的支援、福祉サービスをシームレスに受けられる体制が求められています。
  • 多職種連携の強化
    従来、学校(教育機関)と医療機関や福祉機関との情報連携が不十分だったり、支援の主体が分かれていたりするケースが多くありました。そこで、複数分野が連携・協働するモデルを確立し、地域全体で子どもを支える仕組みづくりを促進する狙いがあります。

2. 「トライアングル(Triangle)」が意味するもの

「トライアングル」という名称には、主に以下のような意味合いが込められています。

  1. 教育(文科省・学校・教育委員会)
  2. 福祉(厚労省管轄の障害福祉サービス・市町村の相談支援・保健所等)
  3. 家庭(障害のある児童の保護者及び家族や親戚など当事者の生活を取り巻く環境等)

これら三つの分野が相互に連携し、子どもと家族を包括的に支える“協働体制”を「三角形」にたとえており、その中心に「子ども(児童・生徒)と保護者」を据えるイメージです。


3. 主な取り組み内容

各自治体や教育委員会・医療機関等の実情によって具体的な支援の形は異なりますが、代表的な取り組みとしては次のようなものが挙げられます。

  1. 地域ごとの協議会・連絡会の設置
  • 教育関係者、医療関係者、福祉関係者が定期的に情報共有やケース検討を行う場を設け、必要に応じて専門職同士が連携を図る仕組みを作る。
  1. 就学前から就学後へのスムーズな接続支援
  • 乳幼児期(保育所や幼稚園など)から小学校・中学校等に進学する際に、必要な支援情報や個別の支援計画を引き継ぎ、途切れなく配慮が行き届くようにする。
  1. 専門家の派遣・助言
  • 地域の医師や心理士、特別支援教育コーディネーターなどが学校や保護者に対して具体的なアドバイスを行う体制を整備する。
  1. 保護者との連携・相談支援
  • 子どもの発達や支援の状況について、保護者が必要な情報を得やすくするための相談窓口を設置したり、家族支援プログラムを用意したりする。
  1. 教職員や医療福祉関係者向けの研修
  • 発達障害をはじめとする障害の特性や支援方法について、教職員・医療福祉の専門職が相互に学ぶ場を設け、知識や技術を共有する。

4. 期待される効果

  • 子ども・保護者の負担軽減
    必要な支援先を探したり、各所に個別に相談したりする負担が軽減される。情報を一元的・連携的に得られるため、保護者も安心して支援を受けやすくなる。
  • 連携不足による支援の空白の解消
    教育現場・医療機関・福祉機関が横断的に情報を共有することで、支援が遅れたり途切れたりするリスクを下げ、子どもに合った支援を適切なタイミングで提供できる。
  • 専門性の向上
    多職種が集まり研修や事例検討を行うことで、支援者同士が互いの専門性を学び合い、より質の高い支援につなげられる。

5. 今後の課題

  • 地域差の是正
    都市部と地方で医療機関や専門職の数、予算の確保状況が異なるため、支援体制の整備にバラつきが生じることがある。
  • 実務レベルでの連携強化
    連絡会などの仕組みがあっても、実際の学校現場や医療・福祉機関で忙しさや人手不足のために連携が十分機能しない場合がある。
  • 家族支援の拡充
    子ども本人への支援だけでなく、保護者が安心して子育てできるような情報提供やサポート(レスパイトケアなど)のさらなる拡充が望まれる。

まとめ

「トライアングルプロジェクト」は、障害のある子どもたちが就学前から学齢期、さらに卒業後の進路まで、途切れなく必要な支援を受けられるようにするために、文部科学省と厚生労働省が中心となって教育・医療・福祉を結びつける取り組みです。現場での実践としては、自治体ごとの連携会議、専門家の派遣、保護者支援や教職員研修などが進められており、子どもたち一人ひとりに合わせた包括的な支援を実現することを目指しています。


保護者向けハンドブックのひな型(文部科学省HP)
https://www.mext.go.jp/content/20201105-mxt_tokubetu01-100003020_01.pptx