国立国会図書館の蔵書デジタル化を担う「デジタルサービスセンター大阪(DSC)」を視察:大阪府茨木市

NPO法人輝HIKARI 代表理事の金子訓隆です。

10月31日夕方、日頃より共に活動をしている山本博司氏(前参議院議員)、そして元厚生労働省 障害者雇用対策課長や福岡県労働局長を歴任された小野寺徳子氏と共に、大阪府茨木市にあるNPO法人 大阪精神障害者就労支援ネットワーク(JSN)様の就労継続支援A型事業所「デジタルサービスセンター大阪(DSC)」を視察いたしました。

詳細については山本博司氏のブログでも紹介されています。

JSNの金塚たかし副理事長・事務局長、ならびにDSCの柿原晋裕所長より事業概要について詳しくご説明いただき、その後センター内を案内していただきました。

JSNは、2007年に精神科医の有志によって設立され、精神・発達障害のある方々を対象とした就労移行支援、就労定着支援、リワーク(復職)支援を手がけておられます。これまで600名以上の方々がJSN様での訓練を経て社会で活躍されている、素晴らしい実績をお持ちです。

専門性の高いデジタル化業務を、障害のある方々が担う

今年(2025年)4月11日に開所されたDSCの主軸業務は、国立国会図書館の蔵書のデジタル化です。
私自身も山本博司前参議院議員と共に、この取組については関わらせていただいているこの日本財団の障がい者優先調達推進法を活用した本事業は、国立国会図書館の蔵書デジタル化を、DSC様を含む全国13か所の障害者施設に委託する形で進められています。

上記については、9月5日に国会で、原田大二郎参議院議員もご同席のもと、日本財団の竹村オフィサーから概要を伺いました。

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現場では、高性能なブックスキャナーが9台並び、国立国会図書館からお預かりした貴重な蔵書を、1冊1冊丁寧に状態を確認しながらスキャニングされていました。
以下の通り、非常に専門性の高いプロセスで業務が行われています。

  1. 1ページ毎に、ゆがみやほこりの映り込みがないかを確認しながら撮影(1日約5,000コマ)。
  2. スキャンした画像をPCで2回にわたり品質検査。
  3. 指定のファイル形式に変換して納品。

こうした一連の高度な業務を、精神障害のある方々が中心(A型と就労移行支援を含め8名)となって担っておられる姿に、深く感銘を受けました。

障害者就労の新たな可能性と地域貢献

この事業は、日本財団様が優先調達法などを活用して受注され、障害者施設へ委託されており、DSC様へは1億7千万円の助成がされています。年度内には約3万冊分の画像データが納品される予定とのことです。

一般企業も担う専門性の高い仕事を障害のある方々が担うことは、働く場の拡大はもちろん、賃金の向上、そして何よりも**大きな「やりがい」に繋がります。

さらに、今後は自治体図書館の蔵書、自治体の行政文書、医療機関のカルテのデータ化など、業務拡大の大きな可能性も秘めています。

また、DSC様が茨木市内の就労継続支援B型事業所(35事業所)の職員向けにICT研修を担い、地域全体の工賃向上に貢献されているというお話にも、大変感銘を受けました。

今後に向けて

NPO法人輝HIKARIとしても、こうした障害者就労の新たなモデルケースとなる取り組みや、デジタル社会に対応した人材育成について、山本博司氏、小野寺徳子氏をはじめ関係者の皆様と連携し、全国に広げていくための方策をさらに推し進めてまいりたいと思います。

この度は、貴重な視察の機会をいただきましたJSNの金塚副理事長、柿原所長はじめ、職員・利用者の皆様に、心より感謝申し上げます。