埼玉福祉事業協会へ正職員らと事業見学:さいたま市

2日午前は、当団体の正職員15名で、社会福祉法人埼玉福祉事業協会へ事業見学に行きました。


埼玉福祉事業協会とは、B型事業所の工賃向上についての取り組みや、埼玉福祉事業協会フェスティバルへの参加、また大運動会への参加など様々な交流を重ねています。
ただ、当団体の職員らは、実際に行っている事業について見学をする機会が無かったので、今回はみんなで見学をさせて頂くことになりました。

初めに髙橋清子理事長から、埼玉福祉事業協会の設立の歴史から、事業全体の説明(入所・グループホーム・短期入所・生活介護・就労継続A型事業・就労継続B型事業・就労移行支援事業)などについて法人案内のパンフレットを基にご紹介頂きました。
また展開している事業内容のご案内、業種の説明、また髙橋理事長が目指す福祉サービスの在り方や、一般企業との連携、業務提携、事業継承などについてお話しを頂きました。


その後、当団体職員からの質疑応答など行いました。

つづいて、ゆずり葉に併設している、パン工場の見学、給食・お弁当の調理、農作業の見学や、杉の子マートでの商品販売の場所の見学など行いました。

見学後は、利用者の方々が調理・盛り付けした給食を頂きました。とてもボリュームのある食事内容でした。

今回の見学では、髙橋清子理事長をはじめ、埼玉福祉事業協会の職員の方々には大変にお世話になりました。末分ですが、深く感謝いたします。

なお、髙橋理事長の法人説明については、以下の文章に要約させて頂きました。


■障害者支援の現状と課題
講演では、障害者が地域で自立した生活を送るために必要な支援のあり方が述べられています。特に、かつての入所施設は「行き場のない人を収容する場」とされがちでしたが、現在は障害者が社会で働く機会を得るための施設機能が注目されています。

■労働を通じた支援の実例
杉の子学園をはじめとする施設では、障害者にさまざまな労働の機会を提供しています。例として、紙のリサイクル作業、農作業、レンタルおしぼりの製造・配達などがあります。これにより、障害者が収入を得るだけでなく、働くことの喜びや自立の達成感を感じることができるよう取り組んでいます。

■働く場の創出と事業の拡大
また、新しい取り組みとしてあかしあの森という多機能型事業所の設立が挙げられます。ここではパンや菓子の製造、養蜂による蜂蜜生産、企業連携による商品提供など、多種多様な仕事を提供しています。さらに、障害者の就労支援の選択肢を広げるため、農業やフィットネスジムの清掃業務、企業との提携などにも取り組んでいます。

■品質向上と付加価値創出
福祉事業として、障害者が手掛けた製品が市場で競争力を持つように、品質の向上と付加価値の創出にも重点を置いています。機械化や設備投資を活用し、生産性を上げつつ、品質を確保し、継続的な販売が可能な体制を整えています。

■社会的意義と未来の展望
障害者が働く権利が未だ完全に保障されていない現状に対し、講演では「働きたいという障害者の思いを実現し、賃金の向上を通じて自立を支援する」という目標が強調されています。また、障害者が一般社会で受け入れられるためには、専門的な支援スキルを持つ職員を増やし、支援の幅を広げることが重要であるとしています。

■地域社会との連携
地域とのつながりを重視し、地域住民や企業との交流、イベント参加を通じて障害者が地域社会に溶け込むための取り組みも進められています。

■持続可能な支援の基盤づくり
最後に、福祉事業を通じて得られる収益は全て障害者の賃金として還元される仕組みが法的に整備されています。これにより、障害者が安定して収入を得られる環境を構築しつつ、地域全体で障害者が活躍できる社会を目指しています。

■当団体職員がまとめた髙橋理事長のお話内容
昭和53年冠婚葬祭関連事業、除草事業等を行っており、社会貢献活動をしたい→手をつなぐ親の会の方に声をかけたところ、共感者が多く、さいたま市に対し補助金申請し日進職業センターが誕生。障害のある人の働く場所を作る基盤を作った。それまでは、障害のある子供を持つ親は、子供の就労先はおろか、卒業後行くところがなかった。
行政的には授産施設の思い入れは少なく、当初は自分で通所できる人のみが通えていたが、このままでは意味がない、本当の社会貢献を目指し、平成6年杉の子学園が設立された。
国の課題「行き場所がない」ため、入所更生施設ができたが、「働く」ことに重きを置いた施設は少なく、そこに重点を置きたかった。どんな人でも自分らしく、やりたいことをやって仕事をできる環境を作りたかった。おしぼりや農作、紙を破いて製紙にして販売するなど、「働く」ことを大切にしたい気持ちが根本にある。機械に任せる部分は機械に任せ、本人たちでできることは行ってもらいたい。
入所希望者に対して、親は有事の時に預かってもらえる場所がない、だから今のうちに確保しておきたいという気持ちが強い。特別支援学校に通っていても、就労できるのは身辺自立ができているお子さんや能力の高いお子さんたちのみ。そうでないお子さんに対しても解決していきたい思いがあった。一般企業の人と負けない工賃を出す。障害基礎年金だけでは足りない。その仕組みを考えたし、現在も考えている。
パン、焼き菓子、花木栽培、養蜂など、利益を生み出す仕組みづくりを考えた。ヤマザキパンなどの製パンは原価率が高い。ではその原価についてどうしたらよいか、専門職を雇用し工夫をするなど、結果的に工賃を出せるようになった。現在、19の仕事を提供している。
障害者に対しては、免税をするので働かなくてよいという国の考えの逆を行っている。障害者支援は、だれでもできるということを証明したい。民間の方たちと一緒に障害者支援を実現したい。障害のある人の生活の場と、仕事の場、提供する支援の追及をしている。
様々な生活の場を用意している。
就労継続A、B、生活介護、就労移行支援など。
自立して工賃向上に、結び付ける。働きたい思いを実現したい。
障害者が埋もれている職業をずっと探し続けている。
就労Aは最低賃金を保証して支給、就労Bは2事業で平均7.7万円と6.6万円を支給、生活介護でも月7千円の平均工賃支給を実現している。
全ての利用者に対して、選択のできる働く場を設け、チャレンジとチェンジ、チェンジとトライ、を行い、キャリアアップを目指していきたい。
新規事業開拓については、納豆やクリーニング、養蜂やスポーツジムなど多岐に当たる。
異業種連携は、工賃だけでなく、地域との連携も含んでやっていきたい。
自分の働いたお金でものを購入することで、楽しむこと、自分への意識向上、につなげていきたい。法人は受諾したものは基本的にすべて受け入れたうえでどうしたらよいかを考える。断ることは基本的にしない。
障害福祉は人材の宝庫ととらえている。報酬の観点から人の手間をかけることができる。人件費はほぼないので、民間ができないことが障害福祉ならできるという考え。人のコストはかからないのが大きな魅力。機会は無限にある。
6次産業の試みもしている。有機栽培の市場価値は高いが、どうしても形が悪かったり規格外のものができてしまう。ただ、これを加工してお菓子などで販売することでそのデメリットは払拭できる。
営利を追求するのではなくて、事業収益を上げることで経済的支援が可能となる。今後は医療分野に力を入れていきたい。