埼玉純心短期大学 合同就職説明会に参加

25日、午前中は埼玉県羽生市にある、埼玉純真短期大学で開催された、合同就職説明会に参加いたしました。


合同就職説明会は2年生を対象とした、令和8年度の就職希望者の学生に対して会社説明会を行う場です。
全部で3交代制となり、1回25分の説明会で、今回は当法人のブースに合計7名の学生にお越し頂きました。

まずは、参加企業に学校側からご挨拶と本合同就職説明会についてお話がありました。

埼玉純心短期大学 合同就職説明会における学校側からのご挨拶要旨

本日ご多忙の中、本学の合同就職説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。この機会に、皆様に本学の現状と学生の動向についてお伝えし、ご理解を深めていただければ幸いです。

まず、本学に関する「学生募集停止」の噂は事実無根であるということです。これは、福岡にある同系列の「純真短期大学」が募集停止したことによる情報の混同であり、この「さいたま純心短期大学」は今後も学生募集を継続してまいりますので、ご安心ください。
この風評を払拭すべく、大学の魅力を伝えるためInstagramでの情報発信を強化しております。授業での学生たちの生き生きとした姿や教員の指導風景などを通し、ありのままの大学の様子をお届けしています。ぜひ一度ご覧いただければ幸いです。また、来年度より本学は「男女共学」へと移行し、新たな一歩を踏み出します。

次に、現代の学生の就職観についてです。調査によれば、学生が仕事に求めるのは「楽しさ」「ワークライフバランス」「人の役に立つこと」がトップ3です。しかし、「人の役に立ちたい」という意識が近年低下傾向にあることは、保育者不足が叫ばれる現状と無関係ではないと捉えており、人材育成における大きな課題であると考えています。

特に保育学生においては、就職先を決める最大の要因が「園(施設)の先生の雰囲気」であることが調査で明らかになっています。この傾向は本学の学生にも顕著です。昨年度の卒業生へのアンケートでは、就職先決定の際に「園の先生の雰囲気」を重視した学生が76.5%と、圧倒的な1位でした。学生たちは、説明会や実習を通して、そこで働く人々の様子を非常に注意深く見ています。

その他、「実習園であること」「通勤距離」「保育観」に加え、「勤務時間」や「福利厚生」といった労働条件も8割以上の学生が重視しています。本日の説明会では、これらの学生が真剣に知りたいと望んでいる情報について、具体的なご説明をいただけますと大変ありがたく存じます。

最後に、学生たちが就職した後の「定着」についてです。若者の早期離職が社会問題となる中、厚生労働省の調査では、保育者が長く働き続けるためには「人間関係の良さ」「金銭的な処遇改善」「休暇の取りやすさ」の3点が重要だと示されています。学生が求める「雰囲気の良さ」は、まさに就職後の「人間関係の良さ」に直結する要素です。

私ども大学の切なる願いは、大切に育てた学生を、一人ひとりが仲間として尊重され、長く安心して働き続けられる職場へと送り出すことです。皆様の園や施設におかれましても、未来の保育を担う人材を育むという視点から、職場環境のさらなる充実にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

本日の出会いが、皆様と学生の双方にとって実りあるものとなることを心より祈念しております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

つづいて、各教室に移動して、就職説明会が行われました。
以下は、当団体と学生が交流した内容です。

特定非営利活動法人「輝HIKARI」就職説明会 要約

第1部:法人の理念と設立の想い(金子代表理事)

説明会の冒頭、金子代表理事が法人の根幹について語りました。

「特定非営利活動法人」という選択

まず金子代表理事が強調したのは、法人の形態が「株式会社」ではなく「特定非営利活動法人(NPO法人)」である点です。「非営利」という言葉から「ボランティア」や「無給」といったイメージを抱かれがちですが、それは誤解であると説明しました。
ここでの「非営利」とは、「事業で得た利益を役員で分配してはならない」という意味です。株式会社であれば、利益が上がれば役員報酬として経営陣に還元されますが、NPO法人ではそれが法律で禁じられています。つまり、経営者が私腹を肥やすための組織ではなく、得られた利益はすべて職員の待遇改善や事業の質の向上といった形で、社会に還元される仕組みになっているのです。
この形態を選んだ理由について、金子代表理事は「社会にとって必要不可欠な仕事を、一個人の利益追求の道具にしてはならない」という強い信念を語りました。職員の給与、賞与、社会保険、各種手当といった待遇面は、株式会社と何ら変わりなく、働く人々にとっては安心してキャリアを築ける環境であることを明確に伝えました。

設立の原点にある、息子の存在

法人設立のきっかけは、金子代表理事自身の個人的な経験にありました。彼の息子さんが、知的障害を持って生まれたのです。子育てをする中で、障害のある子どもを持つ親たちが直面する困難や、社会的なサポートの不足を目の当たりにしました。
特に、当時の学童保育では障害のある子どもを受け入れてもらえないケースが多く、「学校」と「家庭」以外の「第三の居場所」が絶対的に不足しているという現実に直面します。「社会から孤立しがちな子どもたちのための、心安らぐ居場所を作りたい」。その一心で、社会貢献を第一に掲げる「特定非営利活動法人」という形で、2013年に事業をスタートさせたのです。

温かい雰囲気を伝える、手作りの広報物

金子代表理事は、デザイナー兼SEというもう一つの顔を持っています。そのため、法人のパンフレットやウェブサイトは外部に委託せず、すべて自身で制作していると明かしました。パンフレットを飾る写真も、そのこだわりが強く反映されています。
使用されている写真のほとんどは、素材集ではなく、金子代表理事が自ら撮影した、実際の職員や子どもたちの姿です。中には、自身の娘さんや息子さんの幼い頃の写真も使われており、「このパンフレットから、私たちのありのままの雰囲気、職員の年齢層や温かさを感じ取ってほしい」と語りました。文字情報だけでなく、ビジュアルを通して法人のリアルな空気感を伝えようとする姿勢が印象的でした。

第2部:児童発達支援の現場から(鈴木エリアマネージャー)

続いて、同大学の卒業生でもある鈴木エリアマネージャーが、より具体的な現場の仕事内容について説明しました。

「個別療育」と「集団療育」

輝HIKARIが運営する児童発達支援事業所は、大きく分けて2つのタイプがあります。

  1. 個別療育事業所(さいたま市見沼区): 1対1のマンツーマン形式で、子どもの特定の課題に集中的にアプローチします。学習塾のように、1時間から1時間半程度の時間で専門的な支援を行います。
  2. 集団療育事業所(志木市): 今回の説明の主軸となった事業所。小規模保育園に近い形態で、1日の大半を子どもたちと過ごします。

鈴木エリアマネージャーは、自身が管理者として在籍する集団療育事業所「CoCoRearはぐ」を例に、具体的な活動内容を解説しました。

「CoCoRearはぐ」での一日

「CoCoRearはぐ」では、10人前後のお子さんを4〜5名の職員で見るという手厚い体制が特徴です。預かり時間は10時から14時と、療育事業所としては長めに設定されており、子どもたちとじっくり関わることができます。
活動内容は、保育園や幼稚園と非常によく似ています。天気の良い日は毎日公園へ散歩に出かけ、室内ではリトミックや運動、季節の制作活動や行事などを楽しみます。食事や排泄といった身辺自立のサポートも、日々の重要な支援の一つです。

保育園との最大の違い:「集団の中の個別対応」

活動内容は保育園と似ていますが、決定的な違いはそのアプローチにあります。保育園が「みんなで同じことをする」という集団活動を基本とするのに対し、輝HIKARIの集団療育は「集団生活の中で、一人ひとりに合わせた個別対応を行う」ことを基本としています。例えば、全員で制作活動を行う場面でも、Aさんには写真カードで手順を示し、Bさんには職員が隣で手本を見せながら進めるなど、その子の発達段階や特性に応じたサポートを柔軟に変えていきます。集団への適応を目指しながらも、アプローチは常に「個」に寄り添う。これが、児童発達支援の専門性であり、大きな特徴であると鈴木エリアマネージャーは語りました。

働きやすい勤務環境とチーム体制

勤務時間は、「CoCoRearはぐ」の場合、休憩1時間を含む8時30分から17時30分。子どもたちが降園する14時以降は、連絡帳の作成や事務作業、翌日の準備などに充てられます。勤務は主に平日のみで、運動会などのイベントで2ヶ月に1回程度の土曜出勤がある程度です。
何よりも強調されたのは、「チームで支援する」という風土です。発達に課題のあるお子さんへの支援は、一人で抱え込めるものではありません。「この子にどう関われば良いのだろう」と悩んだとき、すぐに他の職員と相談し、都度話し合いながら最善の支援方法を見つけていく文化が根付いています。そのため、孤独を感じることはなく、安心して仕事に取り組める環境が整っていると述べました。

第3部:学生からの質疑応答

説明会の後半では、参加した学生からの質問に答える時間が設けられました。

Q1. 勤務地の異動はありますか?
「本人の希望を最優先します」と両氏は断言。急な欠員など、やむを得ない事情で応援をお願いすることはあっても、本人の意に沿わない異動は極力行わない方針です。特に、志木エリアからさいたまエリアへのような長距離の異動は想定されていません。新卒で入職した場合は、まず一つの場所で2〜3年かけてじっくりと経験を積んでもらうことを基本としています。

Q2. どのような年間行事がありますか?
保育園や幼稚園でイメージされる行事は、ほぼすべて実施しているとのこと。運動会、クリスマス会、発表会といった大きなイベントから、七夕、ひな祭りなどの季節行事、さらには夏祭りや芋掘りなども企画・開催しています。これらの行事は、保護者に子どもたちの成長を見てもらう大切な機会となっており、活動の様子は法人のブログで毎週発信されています。

Q3. 子どもと関わる上で、最も気をつけていることは何ですか?
この質問に対し、鈴木エリアマネージャーは「子どもたちの行動の『なぜ』を考えること」だと答えました。言葉の指示が伝わりにくかったり、一見すると望ましくない行動をとってしまったりすることもあります。しかし、その行動には必ず背景や理由が存在します。
「なぜこの子は今この行動をとったのだろう?」
その理由を職員チームで分析し、専門的な知識と照らし合わせながら、「次はこうアプローチしてみよう」と仮説を立てて実践する。その繰り返しが支援の根幹にあります。そして、自分たちの考えたアプローチによって子どもの行動が変わり、成長が見られた瞬間こそが、この仕事における最大のやりがいであると、熱を込めて語りました。

おわりに:未来の保育者へのメッセージ

最後に、金子代表理事と鈴木エリアマネージャーは、学生たちに職場見学を強く勧めました。「百聞は一見に如かず。ぜひ実際の現場の雰囲気を見に来て、自分に合うかどうかを肌で感じてください」と呼びかけ、電話やメールなど、どのような形でも気軽に連絡してほしいと伝えました。

説明会は、法人の温かい雰囲気と、一人ひとりの子どもに真摯に向き合う職員の姿が伝わる、非常に内容の濃いものとなりました。社会的な意義、専門的なやりがい、そして安心して働ける環境。輝HIKARIは、保育の道を志す学生たちにとって、魅力的な選択肢の一つであることを強く印象付けました。