文京学院大学(作業療法学科・理学療法学科) 就職説明会
本日は、埼玉県ふじみ野市にある、文京学院大学ふじみ野キャンバスにて開催された、保健医療技術学部理学療法学科 ・ 作業療法学科 学内就職説明会に参加いたしました。
4年生と希望する3年生を対象として行われました。
1グループ15分間、計4グループにて2~3名で個別に当団体と各施設の説明。
特に、隣接市の志木市にある「児童発達支援CoCoRearはぐ」と、放課後等デイサービス「輝HIKARIみらい」について概要を説明しました。
当団体からは、代表の金子、エリアマネージャーの鈴木、理学療法士の西山が参加。
現在、理学療法士・作業療法士を目指す学生の方を対象に説明を致しました。

1.事業所の設立経緯と概要
「輝HIKARI」は、さいたま市に本部を構え、2012年から事業を展開している。その始まりは、隣接する埼玉県志木市であった。当時、障害のある子どもたちが地域で過ごせる施設が不足していた状況を受け、「施設がないなら自分たちで作ろう」という父親たちの熱い思いからスタートしたという、当事者家族の切実な願いが設立の原動力となっている。
現在では、未就学児を対象とする「児童発達支援事業」と、小学生から高校生までを対象とする「放課後等デイサービス」の二つの事業を柱に、一番下は2歳から上は18歳まで、発達に何らかの課題を抱える幅広い年齢の子どもたちを支援している。
2.事業内容と支援の特色
(1)児童発達支援事業(未就学児対象)
鈴木氏が説明した児童発達支援事業は、小学校入学前の子どもたちを対象とし、1日を通して預かりながら支援を行う。主な対象は、集団生活への適応が難しい、発語がない、衝動性が激しいといった発達上の課題を持つ子どもたちである。
この事業所の大きな特色は、単に日常生活の動作を修正するだけでなく、その課題の背景にある「感覚の受け取りづらさ」や「身体の動かしにくさ(協調運動の困難さ)」といった根本的な要因に目を向けている点にある。支援は、いわゆる訓練的なアプローチではなく、子どもたちが主体的に楽しめる「遊び」を通して、必要な感覚統合や運動能力を自然に育んでいくことを目指している。
(2)放課後等デイサービス(就学児対象)
理学療法士の西山氏からは、自身が働く放課後等デイサービスの現場について、より具体的な説明があった。平日は学校が終わった子どもたちを施設に迎え入れ、夕方まで預かる。休日は朝から1日預かる形態となる。
支援は、おやつの時間やダンス、公園遊びといった日常的な活動の中で行われる。西山氏は、専門職としての視点を次のように語った。
• 動作分析を通じた課題発見:
専門的な検査器具を用いる時間は限られているため、子どもたちの自由な活動を注意深く観察する「動作分析」が支援の基本となる。例えば、「お菓子の個包装がうまく破れない」「ゼリーの蓋が開けられない」といった指先の不器用さの背景にある要因を探る。また、ダンスやジャングルジムで遊ぶ様子から、「全身運動の中で左右の動きが連動していない(協調性に課題がある)」といった点を見つけ出す。
• 遊びを通じたプログラムの実践:
課題が見つかると、その子に必要な動きを取り入れた遊びをプログラムとして実践する。「鬼ごっこ」や「だるまさんが転んだ」といった集団での遊びは、楽しみながら「止まる」「走る」といった身体のコントロール能力や協調性を養う絶好の機会となる。プログラムを通じて、子どもが今までできなかった動作を獲得していく過程をサポートし、その成長を評価しながら次の支援へと繋げていく。

3.働く魅力と求められる専門性
鈴木氏は、この仕事の最大の魅力は「子どもたちの成長に立ち会える感動」にあると語る。支援を通じて子どもたちに確かな変化が見られた時の喜びが、仕事全体のモチベーションになっているという。また、子どもたちが持つエネルギーに触れながら一緒に仕事ができることも、この分野ならではのやりがいだと述べた。
特に強調されたのは、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といった専門職の知識が、現場で強く求められているという点である。食事の際のスプーンの持ち方や、文字を書くときの鉛筆の持ち方といった微細運動に苦手さを抱える子どもは非常に多く、専門的な視点からのアプローチが不可欠となっている。
「輝HIKARI」では、一人の専門職が単独で支援するのではなく、保育士や社会福祉士など、様々な職種のスタッフがそれぞれの専門性を持ち寄り、チームで一人の子どもについて考え、支援計画を立て、実践していく「チーム支援」の体制を重視している。
4.労働環境と教育・採用
(1)勤務体系
西山氏の説明によれば、放課後等デイサービスの平日の勤務時間は10時から19時。午前中は、その日の活動プログラムをチームで検討したり、事務作業を行ったりする。13時半頃から学校へ迎えに行き、子どもたちが施設に戻る15時から17時までが支援の中心となる。その後、子どもたちを自宅へ送り届け、19時に退勤する流れだ。学校が休みの土曜日は、9時から17時勤務となり、1日預かりに対応する。
(2)新人教育制度
新人教育については、法人全体で体系的な「OJT研修」が組まれている。入職後約2ヶ月間にわたり、社会人としてのマナーから業務全般、子どもとの関わり方まで、週単位でプログラムが組まれている。配属先の管理者が責任者となり、事業所全体のスタッフが一丸となって新人をサポートする体制が整っており、安心してキャリアをスタートできる環境である。
(3)採用方針
採用は、応募者の希望勤務地を最優先に考えて配属を決める。専門性を持つ人材を強く求めている。
5.結び
説明会の最後には、「百聞は一見にしかず。ぜひ一度見学に来て、子どもたちの可愛らしさやパワー、そして私たちの支援の実際を見てほしい」という強いメッセージが送られた。施設見学は随時受け付けており、興味を持った学生が気軽に訪れることを歓迎している。
「輝HIKARI」は、子どもの発達課題に深く向き合い、遊びを通じた楽しい支援をチームで実践する、専門性を存分に発揮できる職場であることが強く印象付けられた。

学生達からは以下のような質問が出ました。
Q1. 輝HIKARIはどのような法人ですか?
輝HIKARIは、2012年に設立された特定非営利活動法人(NPO法人)です。社会貢献を主な活動目的としており、利益が出た場合は施設の増設に充てられます。設立のきっかけは、埼玉県志木市に障害のある子どもを預かる施設がなかったことで、保護者たちが「なければ作ろう」という思いで立ち上げました。現在、埼玉県志木市とさいたま市を中心に約8つの事業所を運営しており、主に2歳から18歳までの発達に課題を抱える子どもたちを対象に、児童発達支援(未就学児向け)と放課後等デイサービス(就学児向け)を提供しています。
Q2. 輝HIKARIではどのような支援を行っていますか?
輝HIKARIでは、発達に課題を抱える子どもたちに対し、日常生活を通した支援を行っています。集団生活への適応困難、発語の遅れ、衝動性といった課題を持つ子どもが多く、これらの課題の背景には「感覚の受け取りづらさ」や「体の機能の未熟さ」があると捉えています。そのため、単なるリハビリテーション訓練ではなく、子どもたちの課題に沿ったプログラムを「遊びを通して」取り入れることを重視しています。具体的な支援としては、スプーンや箸の使い方、文字書き、ハサミの使用、ジャンプや縄跳びなどの日常生活動作の獲得を目指し、動作分析を中心に個々の子どもに合わせたアプローチを行います。最終的な目標は、子どもたちが社会に出たときに一人で自立した生活を送れるようになることです。
Q3. 病院でのリハビリテーションと輝HIKARIでの支援にはどのような違いがありますか?
病院でのリハビリテーションが疾患からの機能回復を主眼とするのに対し、輝HIKARIでは「元々ない状態からの新たな能力の獲得」という視点を重視しています。病院のようなMMT(徒手筋力検査)やROM(関節可動域測定)といった数値化された評価は難しいため、遊びの中での動作観察による動作分析が中心となります。比較的リスクの高い疾患を持つ子どもは少なく、日常生活の自立を促すことが求められます。また、長期的な目標として、社会に出て一人で自立した生活を送れることを目指す点が大きな違いです。小児高次脳機能障害を持つ子どもの受け入れも行っており、社会適応に向けた長期的な支援を提供する場合もあります。
Q4. 輝HIKARIでは多職種連携をどのように行っていますか?
輝HIKARIでは、多職種連携を非常に重視しています。理学療法士(PT)だけでなく、作業療法士(OT)、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士など、多様な専門職が在籍しており、それぞれの専門的な視点から一人の子どもの成長をサポートします。支援計画の立案から活動内容の検討まで、すべてチームで行うため、一人で悩むことはありません。新しい専門職の参加を歓迎しており、異なる視点を持つ専門家との関わりは、職員にとっても有意義な学びの機会となります。
Q5. 子どもたちとの関わりで最も重要視していることは何ですか?
子どもたちとの愛着関係を築くことを最も重要視しています。簡単な言葉で言えば「仲良くなること」、もっと言えば「一緒に遊ぶこと」です。信頼関係が築ければ、子どもの課題の半分は解消されると言っても過言ではないほど、支援において愛着関係は不可欠です。子どもたちが「この人と一緒にいると楽しい」「何か楽しいことをしてくれる」という期待感を持つことで、自発的なやる気を引き出し、成長を促すことができます。子どもの「できた」瞬間に立ち会えることが、この仕事の大きなやりがいにも繋がっています。
Q6. 新人への教育体制はどのようになっていますか?
新人教育として、入職後に約1ヶ月半から2ヶ月間のOJT研修を実施しています。各事業所の管理者が担当となり、社会人としてのマナーから、子どもたちとの関わり方、遊び方、業務全般に至るまで、プログラムに沿った研修を行います。複数の事業所を回る研修もあり、様々な状況に対応できる知識と経験を積むことができます。スタッフ全員が一丸となって新人の育成・サポートを行う体制が整っているため、知りたいことや分からないことはこの期間で解消できると期待されています。
Q7. 輝HIKARIで働くPT・OTの勤務時間や役割について教えてください。
PT・OTの平日(学校がある日)の勤務時間は10時から19時で、13時半頃に学校へ子どもたちを迎えに行き、15時から17時までが預かり時間となります。その後、送迎や事務作業を行います。土曜日(学校が休みの日)は9時から17時勤務で、10時から16時までが子どもの預かり時間となり、終日預かりの形態です。未就学児を担当する児童発達支援の場合は、午前中が主な活動時間となります。PT・OTの役割としては、動作分析に基づいたプログラムの立案・実施が中心で、子どもたちの「新たな動作の獲得」と「社会での自立」を目指し、チームで支援を行います。
Q8. PT・OTに求められるスキルや、現在の在籍状況について教えてください。
PT・OTには、生理解剖学や運動学の基礎知識が必須であり、特に動作分析に関する知識や、目視で運動能力を評価する視点が重要です。ROMやMMTの基本的な数値を頭に入れておくことも、評価をスムーズに進める上で役立ちます。最も重要なのは、子どもとの信頼関係を構築する能力です。
現在、理学療法士の在籍は西山氏1名のみですが、言語聴覚士(ST)や社会福祉士(SW)、精神保健福祉士(SSW)など他の専門職は在籍しています。PT・OTの専門職は不足しているため、積極的に採用を行っています。この分野はまだ発展途上の段階であり、新しい専門職の参加を大いに期待しています。外部のOT専門家や学会の先生方からの定期的な研修やアドバイスも取り入れており、専門性を高めることができる環境です。
参加して頂いた学生の皆様はとても前向きに聞いてくださり、子どもの支援についても興味を持って頂きました。この先の、見学などの進展に当団体としても積極的に取り組んで参りたいと思っています。
※写真掲載につきましては、学生さんの許可を得て掲載しております。