本物の福祉とは?社会福祉法人フラット視察:千葉県白井市

26日お昼から、千葉県白井市にある社会福祉法人フラットに訪問しました。


こちらの訪問には、山本博司参議院議員(政策担当秘書同行)、齊藤健一さいたま市議会議員の他、当団体の金子訓隆代表理事、大谷貴志理事、山中弘幸さいたま施設長、金子展隆監事、島良一人事担当の計8名で訪問しました。

12時に到着した際、視察前に就労継続支援A型・B型で運営されている「フラットヴィレッジ」にて、昼食を頂きました。

https://flatvillage.flat.or.jp

オススメのヴィレッジプレートバジルチキンを戴きました。


とてもヘルシーで栄養豊富でありながらとても美味しい昼食を戴きました。

昼食後から、林晃弘理事長と、最高人事責任者の立松和樹氏にご参加頂き、林晃弘理事長から社会福祉法人フラットの設立の経緯から理念について聞かせて頂きました。

林晃弘理事長のお話しは以下に要約いたします。


社会福祉法人フラット 理事長 林晃弘氏 講話要約
はじめに、社会福祉法人フラットの理事長・林晃弘氏は、同法人の理念と事業展開の背景について、個人的な体験を交えながら語った。林氏はもともと教員志望で、大学でも福祉とは無縁の進路を歩んでいたが、教員免許取得の実習先として訪れた福祉施設での出会いをきっかけに、福祉の世界へ進むことを決意した。

初めての配属先では、利用者が自らの意思で働き方や暮らしを選ぶことができない現実を目の当たりにし、「福祉とは何か?」「本当の支援とは何か?」との問いを深く抱くようになる。特に、事故により身体の自由を失い、7年間笑顔を失っていたタツオさんという利用者が、外出支援の中で再び笑顔を取り戻した姿に触れ、「障害があっても、自分らしく生きられる社会の実現」が福祉の本質だと強く確信した。

こうした経験を通じて、林氏は24歳でNPO法人を立ち上げ、のちに社会福祉法人フラットを設立。法人は創設から20年を迎え、現在では約160名の職員とともに、6拠点・21の事業を展開している。事業の幅が広い理由は、「制度ありき」ではなく、「目の前に困っている人がいるから必要な支援を創る」という現場発の発想からであり、地域生活、就労、外出といった多様な「場」を統合的に支える体制が特長である。

「当たり前」を取り戻す福祉
林氏は福祉のミッションとして「当たり前を当たり前にする」ことを掲げている。例えば、お風呂に毎日入る、好きな時間に好きなものを食べる、好きな場所に住むといった生活の基本が、障害を理由に制限される現状が多く存在する。フラットでは、支援者の都合や制度の限界にとらわれず、「自分がそうされたらどう思うか」の視点から、利用者と対等な暮らしを追求している。

さらに、障害者が社会の中で「見えない存在」となっていることにも問題意識を持つ。例えば、ディズニーランドに行きたいと願う障害者が多くいても、物理的・心理的バリアによって参加できていない現実がある。社会の「正義」は、偏見や制度にとどまらず、支援者自身の価値観にも潜むとし、「どうせ無理」「大変だから」という支援側の固定観念こそが、障害者の社会参加を妨げる要因だと語る。

多様な暮らしと働き方を支える
住まいに関しては、グループホームを複数展開し、単に「地域移行」するだけでなく、「その人に合った暮らし方」を見つけられるよう、転居や住み替えも積極的に支援している。また、「働く」ことの重要性についても強調し、重度障害者や医療的ケア児者であっても、自分らしい働き方を模索できるよう、多様な仕事の選択肢を用意している。農園での作業から接客業まで、やりがいを持って挑戦できる環境づくりを進めている。

中には、長年ひきこもりを経験し、最初は施設の玄関から一歩も出られなかった利用者が、外出支援や就労支援を通して自信を回復し、「店長になりたい」と夢を語るようになった事例もある。福祉とは「障害者の幸せを一緒に考え続ける営み」であり、決して一方的な支援ではなく、人生の伴走者としての役割が求められると林氏は述べる。

外出・地域参加へのこだわり
林氏が特に重視するのが「プライベートな場」、すなわち生活と仕事の間にある自由な時間の充実である。施設から送迎車での直行直帰が多い障害者にとって、ちょっとした外出や寄り道は想像以上に大きな価値を持つ。そこで、法人では年間2万時間にもおよぶ外出支援(行動援護・移動支援)を実施。障害者が自らの好みや関心に基づいて行きたい場所を見つけられるよう、多様な体験の場を提供している。

「行ってみなければ好きかどうかも分からない」という考えのもと、好みや適性を知るアセスメントの一環として外出支援を位置づけており、経験の蓄積が本人の意思決定支援につながると林氏は語った。

本物の福祉を実践するために
講話の最後で林氏は、新卒職員にも繰り返し伝えている言葉として、「本物の福祉とは、利用者の幸せを考え続けること」であると述べた。表面的な支援や作業にとどまらず、その人の人生全体を支えるという視点を持つことが、福祉職としての醍醐味であり、誇りであると説いた。

社会福祉法人フラットが目指すのは、障害があってもなくても、誰もが「自分らしく」「地域の中で」「当たり前に」生きることのできる社会の実現である。そのために、暮らし・働く・社会参加の3つの基盤を整え、多様な選択肢と意思決定の支援を柱とする独自の実践が、日々積み重ねられている。


続いては、フラットヴィレッジを見学させて頂きました。
この内容については後日改めて記載いたします。