障がい児の「18歳の壁」
本日(7日)、公明新聞の3面に掲載されている『ズバリ聞きます!障がい児の「18歳の壁」』についてお知らせします。
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ズバリ聞きます! 障がい児の「18歳の壁」
答える人=党障がい者福祉委員会事務局長(参院議員) 宮崎勝さん
2025/09/07 3面
障がい児が、成人を迎える18歳で特別支援学校を卒業後、放課後等デイサービスを利用できなくなり、居場所に困る問題は「18歳の壁」と呼ばれます。事態の改善へ法改正をめざし、公明党を含む超党派議員連盟の議論が活発化しています。問題の概要などを党障がい者福祉委員会の宮崎勝事務局長(参院議員)に聞きました。
■Q 何が“壁"なの?
■A 学校卒業後の居場所不足。就労諦める保護者も多く
アスカ 18歳の“壁"とは何ですか。
宮崎 医療的ケアが必要な子どもをはじめ障がい児は、18歳までは学校下校後、午後6~7時まで放課後等デイサービスを利用できますが、卒業後はこうした支援が受けられなくなります。多くの場合は代わりに、日常生活を支える「生活介護事業所」や障がい者が従事する「就労継続支援事業所」などに午前中から通うことになりますが、大半の施設は利用終了時刻が午後3~4時までで、夕方の居場所がなくなってしまいます。さらに、成人を迎えた医療的ケア者が利用する生活介護事業所は全体の2割に満たないという国の調査結果もあり、居場所の不足が深刻です。
アスカ 介護を担う親の負担は大きいですね。
宮崎 卒業を機に帰宅が早まり居場所がなくなることで介護と仕事の両立が難しくなり、就労を諦める保護者や、正社員からパートに切り替えざるを得ない人も多くいます。将来的に世帯収入や年金受給額の減少につながる恐れもあり、対応が求められています。
■Q 公明党の取り組みは
■A 体制の整備へ報酬を改定。介護との両立対策進める
アスカ “壁"打開へ、これまでの公明党の動きは。
宮崎 当事者らの声を聴きながら、国会質問や提言などを通じて、取り組みを進めてきました。例えば、2024年度の介護報酬改定では、生活介護事業所の利用時間を9時間以上に延長する場合に報酬が加算されるようになり、夕方まで対応しやすくなりました。さらに、医療的ケア児の成人期移行にも対応できる体制の整備へ、事業所の常勤看護職員の配置人数を増やした場合の報酬を拡充。たんの吸引などの実施に対する加算も創設しました。
アスカ 親への介護と仕事の両立支援は。
宮崎 公明党の強い推進で、改正育児・介護休業法が今年4月から段階的に施行され、両立支援が強化されました。企業に対して、介護に直面した労働者への両立支援に関する情報の個別周知と意向確認、研修や相談窓口の整備などが義務付けられました。
ほかにも、両立支援に取り組む中小企業を支える助成金も用意しています。親が安心して仕事を継続できるよう、支援策の周知を徹底していきます。
■Q 今後の展望は
■A 医ケア児の支援強化へ法改正めざし超党派で議論
アスカ 各地の党地方議員も取り組んでいますね。
宮崎 その通りです。例えば、さいたま市は22年度から、生活介護事業所などが利用できなくなる午後3時以降も障がい者を預かり、居場所を提供する“夕方支援"を実施しています。障がい者の家族から相談を受けた党地方議員が市に粘り強く訴え実現しました。
こうした自治体独自の支援も広がっており、党の議員ネットワークで後押ししていきます。
アスカ 今後の展望は。
宮崎 18歳の“壁"を巡る問題は今も多く残っています。当事者や家族を孤立させることなく、地域で支えていく取り組みを強化する必要があります。
現在、公明党が中心メンバーとなった超党派議連で、医療的ケア児支援法を来年の通常国会で改正するべく、関係団体にヒアリングし、議論を進めています。医療的ケア児が成人後に地域で暮らすための社会的資源の整備などの実現をめざす法改正です。公明党は与野党の合意形成に力を尽くす決意です。

これを実現していくべき行動したのが、特定非営利活動法人輝HIKARIの金子訓隆代表理事がキッカケです。
遡るところ、2022年初旬、当団体が連携している、社会福祉法人岩手ひだまり会から「18歳の壁」について相談されました。
その内容がまさに「放課後等デイサービスの利用が終わり、就労継続B型事業所へ通所するようになり、15時で終わってしまう。その後は岩手ひだまり会は、スタッフのボランティアと思いで、夕方まで延長してお預かりしている。これを国の制度として何とか穴埋めできないか?」というものでした。
早速、金子代表理事は、山本博司参議院議員(当時)に相談。
そこで、国と自治が連携して推し進めなければ解決しない課題ということを知り、輝HIKARIの地元であるさいたま市見沼区選出の、さいとう健一市議会議員にも相談。
その後2022年4月に、岩手ひだまり会と奥州市の地元市議会議員の阿部加世子市議、山本博司参議院議員、さいとう健一さいたま市議会議員と輝HIKARIの金子代表理事でオンラインミーティングを開催
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18歳の壁、「午後3~6時」支援を山本(博)氏らオンラインで懇談/岩手と埼玉の重度障がい児・者施設代表
2022/04/21 6面
公明党の山本博司参院議員はこのほど、社会福祉法人「岩手ひだまり会」(高橋洋子理事長=岩手県奥州市)と、NPO法人「輝HIKARI」(金子訓隆代表理事=さいたま市)が開催したオンライン懇談会に出席。阿部加代子、飯坂一也の両奥州市議、斉藤健一さいたま市議が参加した。
席上、岩手ひだまり会の高橋理事長は「特別支援学校の高等部を卒業すると『放課後等デイサービス』が利用できなくなり、自宅で過ごすケースが多い」と説明。さらに「放課後等デイサービスは午後6時まで預かってもらえるが、卒業後は生活介護事業所などの利用となり、午後3時までしか預かってもらえない」と述べた。その上で「保護者が仕事を続けたり、介護の負担を軽減するため、この午後3~6時の間の『夕方支援』が必要だ」と訴えた。
一方、輝HIKARIの金子代表理事と斉藤市議は、2022年度から「夕方支援」を実施する、さいたま市の取り組みを紹介した。
山本氏は「重度障がいのある人と家族の多くが“18歳の壁"に苦しんでいる。制度のはざまといえる『夕方支援』に取り組み、制度改革に全力を挙げたい」と話していた。

さいたま市ではこの夕方支援が実現
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特別支援学校高等部を卒業後、夕方以降の居場所を提供 午後3時から家族の出迎えまで/さいたま市
2022/06/03 7面
障がいのある生徒が特別支援学校の高等部を卒業すると、「放課後等デイサービス」が利用できなくなる“18歳の壁"が存在する。元生徒は夕方の早い時間帯に帰宅せざるを得なくなり、出迎える家族が就労を諦めたり、パートに切り替えたりするケースも少なくない。さいたま市は本年度から、午後3時以降も障がい者を預かる“夕方支援"を開始した。公明党の斉藤健一市議が“18歳の壁"解消に向け、後押ししてきた。
障がいのある生徒は特別支援学校を卒業後、進学や就職が難しい場合、日中の居場所を提供する「生活介護事業所」や、雇用契約を結ばずに働く場所を提供する「就労継続支援B型事業所」に通うことが多い。両事業所は午前9時から通所できるが、利用できるのは午後3時頃まで。「放課後等デイサービス」も使えなくなるため、午後3時以降の居場所がない。夕方の早い時間帯に家族の出迎えが必要になっている。
さいたま市にはこれまで、午後3時以降の預かりサービスを実施する事業所を補助する仕組みがなかった。仮に預かりサービスを実施する場合、その時間の人件費などは事業所負担となるため、夕方以降の居場所を確保する“夕方支援"に対応した事業所は少ないのが現状だ。
■預かり受ける施設に市が補助/“18歳の壁"解消へ公明議員が推進
「夕方も預かってもらえないか」。昨年4月、障がい者の家族から相談を受けた斉藤市議は、市障害支援課に対し「障がい者を午後3時以降も預かれるような制度が必要だ」と粘り強く交渉。これを受ける形で市は、「生活介護事業所」や「就労継続支援B型事業所」に通う障がい者を、午後3時以降も一時的に受け入れる「日中一時支援事業」を実施する施設に対し、補助する仕組みを作り、本年度から夕方支援が実現した。
補助を利用し、日中一時支援事業を実施するのは市内4施設で、時間は午後3時以降、最大6時間まで。各事業所から4施設への送迎費も補助の対象となる。
補助対象施設の一つ、社会福祉法人邑元会の障害者支援施設「しびらき」の相浦卓也施設長は、「共働き世帯の増加で夕方支援の利用ニーズは今後さらに増える。適切な支援をするため市から補助が受けられるのはありがたい」と語る。これに対し斉藤市議は、「夕方支援をさらに充実させ、家族の負担軽減につなげていく」と応じた。

この国と自治体が共に連携してできた制度について、相談元である、岩手ひだまり会へ、山本博司参議院議員(当時)、さいとう健一さいたま市議会議員と共に金子代表理事は岩手に訪問して、岩手ひだまり会の役員の方々、そして小林正信岩手県議、阿部加世子市議会議員とも連携して、相談元の現状視察を行いました。
2022年8月31日
社会福祉法人 ひだまり会の高橋理事長らと意見交換会(岩手県奥州市)

これによって地域格差の実情など知る中で、推し進めてきた制度拡充です。
本記事の宮崎勝参議院議員のインタビューで「18歳の“壁"を巡る問題は今も多く残っています。当事者や家族を孤立させることなく、地域で支えていく取り組みを強化する必要があります。」との現状を踏まえて、地域格差を是正すると共に、この問題に関してこれからも真央向きに取り組んで行きます。