障がい者雇用を「戦力」に!マイナビパートナーズを視察:東京都千代田区

昨日2月3日、輝HIKARIの金子訓隆代表理事が、山本博司前参議院議員、そして元厚労省・障害者雇用対策課長を務められた小野寺徳子さんと共に、千代田区にある株式会社マイナビパートナーズ様を視察いたしました。

「障がい者雇用」の最前線で、一人ひとりが「戦力」として輝く現場。そこには、私たちの子供たちの未来にもつながる、大きなヒントが溢れていました。

障がいを「個性」ではなく「戦力」として捉える視点

マイナビパートナーズ様は、従業員339名のうち約7割(249名)が障がいのある方々です。その多くが精神・発達障がいのある方ですが、驚くべきは1年後の定着率が80%台半ばという、非常に高い水準を維持されていることです。

藤本雄社長がお話しされていた言葉に、一同深く感銘を受けました。

「配慮はするが遠慮はしない。障がい者雇用は義務ではなく、選択である」

法定雇用率を守るための「数あわせ」ではなく、あくまで一人の「戦力」として迎え、成果を共に目指す。その凛とした姿勢が、働く方々の自信と定着につながっているのだと感じました。

誰もが働きやすくなる「合理的配慮」の具体例

視察では、PC業務や封入作業など、多様な業務が行われていました。現場では、特性に合わせたきめ細やかな工夫が随所に見られました。

  • 音への配慮: ノイズキャンセリングイヤホンやイヤーマフの使用。
  • 視線の配慮: 集中できるよう、周囲の視線を遮るパーティションの活用。
  • リカバリータイム: 午前1回、午後2回、各10分間のリフレッシュタイム。

特に印象的だったのは「リカバリータイム」です。これは単なる休憩ではなく、体調やメンタルを整えるための時間。金子代表も、社員の皆さんと一緒にYouTube動画に合わせた体操に参加し、心身をリフレッシュさせる現場の工夫を肌で感じてきました。

未来を創る「12か月の有給インターンシップ」

また、大学等に通う発達障がいの学生を対象とした**「障がい学生育成事業」**にも注力されています。

12か月という長期の有給インターンを通じて、「社会人基礎力」と「セルフケア力(自分の特性を理解し、体調を管理する力)」を育む試みです。すでにこのプログラムを経て、着実な雇用へと結びついているそうです。


視察を終えて

今回の視察を通じて、適切な環境整備と高い志があれば、障がいの有無にかかわらず誰もが社会の「戦力」になれることを再確認いたしました。

藤本社長、吉野取締役、守屋部長をはじめ、マイナビパートナーズの皆様、貴重なお時間をありがとうございました!


さらに詳しい説明につきましては、以下に要約しましたので御覧下さい。

マイナビパートナーズ・藤本代表取締役社長へのヒアリング内容に基づき、貴社の革新的な障害者雇用の取り組みを要約いたしました。


マイナビパートナーズにおける「戦力としての障害者雇用」と経営戦略

1. 設立の背景とミッション:法定雇用率を超えた「選択」

マイナビパートナーズは、単に法定雇用率を達成するための「義務」としての雇用ではなく、企業価値を高めるための「選択」として障害者雇用を推進しています。

代表の藤本氏は、親会社マイナビの人事責任者時代、障害のある学生の選択肢が極めて狭い現状(3万社の求人に対し、障害者雇用に積極的な企業はわずか1~200社程度)や、特に精神・発達障害に対する根強い偏見を目の当たりにしてきました。

こうした背景から、同社は**「誰もが活躍するために導くみらいの道しるべ」**をミッションに掲げ、精神・発達障害のある社員が「戦力」になれることを証明し、後続の障害者の道を切り拓くことを目指しています。

2. 組織構成と業務の多様性

現在、社員の約9割が精神・発達障害(うち3分の2が発達障害)という構成です。業務内容は、従来の特例子会社にありがちな単純作業の反復ではなく、多岐にわたるのが特徴です。

  • 事務系: 親会社のコア業務を巻き取り、グループ全体の効率化に貢献。
  • IT・プログラミング系: RPAやGAS(Google Apps Script)を活用した業務自動化。
  • クリエイティブ系: Web制作、イラスト、動画制作、雑誌デザイン。
  • ライティング系: 求人原稿制作(1人あたり月間120本以上と健常者と同等の生産性)。親会社から受託する業務は数千種類に及び、特例子会社としては突出した業務バリエーションを誇ります。

3. 「配慮するが遠慮しない」マネジメントと定着支援

同社の文化を象徴するキーワードが**「配慮するが遠慮しない」**です。合理的配慮は提供する一方で、成果に対しては妥協しません。

  • 愛情の定義: 「できないから7点でいいよ」と甘やかすのではなく、目標達成に向けて伴走し、成果を褒めることが真の愛情であると定義。
  • 経済なき道徳は寝言: 障害者が働いていること自体を尊ぶ「道徳」だけでなく、経済合理性が伴って初めて存在価値が認められるという「二宮尊徳」的な思想をベースにしています。
  • 雇用形態: 採用時から正社員として雇用。将来への不安を払拭し、中長期的な育成(2~3年スパン)を可能にしています。
  • 定着支援の多重構造: 先輩社員による「バディ制度」、産業医・保健師による定期面談、全8単元の「セルフケア講義」などを通じ、安定した勤怠を土準化しています。

4. 業務の「定量化」と「戦力化」の可視化

同社の取り組みで最も革新的なのが、1,500種類に及ぶ全業務の定量化です。感覚的な「頑張り」ではなく、以下の指標を用いて生産性を数値化しています。

  • 業務指標時間: 依頼者(親会社社員)が作業した場合の標準時間。
  • 直接生産量: 「指標時間 × 件数」で算出される、本来生み出されるべき価値。
  • 生産比(生産効率): 直接生産量を実際の作業時間で割ったもの。
    • これが「1」を超えれば、親会社の健常な社員以上のパフォーマンスを発揮していると定義。

この可視化により、社員自身の意識が劇的に変化しました。「もっと難易度の高い仕事(ポイントの高い仕事)に挑戦したい」「効率を上げるためにスキルを磨きたい」といった主体的かつ建設的な会話が現場で生まれています。また、管理者側も個々の得意不得意をデータで把握でき、最適なアサインと育成プランの策定が可能になりました。

5. DX推進とITスキルによる付加価値向上

発達障害とITスキルの相性の良さに着目し、IT人材の育成に注力しています。

  • 業務自動化の成果: ITスキルを活用し、健常者が1時間かかる業務を10分に短縮。累計で1万6,000時間以上の削減を実現。
  • 学習プログラム: YouTubeやUdemyなどの既存リソースを組み合わせた、独自の「80の学習プログラム」を構築。
  • AI・ツールの活用: CopilotなどのAIツールやPower Automateを積極的に導入。今や「ITに強い部署」として、親会社から自動化ツールの構築依頼が舞い込むまでになっています。

6. 今後の展望:グループ全体への価値還元

今後は、単なる業務受託の場を超え、親会社のダイバーシティ推進を全面的にバックアップする「ノウハウの供給源」としての役割を強化します。

  • 逆出向: 安定した社員を親会社へ送り出し、同時に受け入れ側の管理職へのサポートも行う。
  • BPO拠点化: グループ外からも外貨を稼げる、市場競争力を持ったBPO企業への脱皮。
  • コストから利益へ: 難易度の高い業務(外注費が発生している領域)を巻き取ることで、グループ全体の利益に直接貢献する。

結論

マイナビパートナーズの事例は、障害者雇用を「福祉」の文脈から「経営・戦略」の文脈へとアップデートした先進的なモデルです。徹底した業務の可視化、正社員雇用による安心感の醸成、そしてITスキルの武装により、障害者が文字通りの「戦力」として企業の競争力を支える存在になれることを、圧倒的な数字と事実で証明しています。