障害者優先調達への取り組みを活用したIT業務の推進について懇談:永田町
28日午後に参議院議員会館の原田大二郎事務所へ伺いました。
原田大二郎参議院議員が出席し、山本博司氏(前参議院議員)と、小野寺徳子氏(元厚労省の障害者雇用課長・福岡労働局長を歴任)と共に障害者優先調達に関して、厚生労働省からリアリングを受けました。

国・地方自治体などによる障害者就労施設等からの物品等の調達を推進する障害者優先調達推進法(平成24年)が議員立法で法整備した経緯からずっと取組みを聞かせて頂きました。
令和5年6月の政令が改正され、金額の上限が撤廃され政府調達規模(1800万円)以上の金額の発注が可能となりました。
それにより国立国会図書館の蔵書をデジタル化する事業には日本財団が受注して、2024年度は障害者施設8か所(福岡県・熊本県等)に委託、2025年度は13か所の施設が参加の予定となっています。
約7億円を超える規模の障害者優先調達となり、一般企業も担う専門性の高い仕事で障害者の賃金向上もはかられる画期的な取り組みです。
福岡県障がい者就労支援ホームでは障害のある人が撮影用のスキャナーを備えた暗室に入り、本を開いてガラス版で挟み、足元にあるスイッチでシャッターを押す。ゆがみ、ほこり等ノ映り込みがないかを確認し、1時間に150コマ(枚)ほど撮影する。隣室では撮影された画像のチェックが行われる。約4620万点の蔵書がある国立国会図書館は、デジタル化を加速させています。
現在、障害者優先調達で行われる入札制度としては、障害者施設の授産品や、清掃などのサービス役務提供が中心となってきていますが、障害のある方の中で精神障がい者の方の就労が増えております。
特にIT分野にて、就労を希望する方も増えてきており、生成AIなども活用した新たな業務形態の検討も課題となっています。
今回は上記視点も含めて、厚労省と意見交換をした内容について以下に要約しました。
数値に関しては確実性がありませんが、全体的な会話の内容として参考に読んで下さい。
-----以下会話内容による要約文-----
この会話は、2025年8月28日に行われたもので、厚生労働省の担当者と、山本博司氏、小野寺徳子氏、金子訓隆氏らによる障害者優先調達推進法(以下、優先調達法)に関する意見交換です。主なテーマは、同法の概要、実績、IT関連業務の拡大可能性、課題、支援予算、事例共有、および今後の改善策です。会話は専門的な議論を中心に進み、障害者就労施設の工賃向上とデジタル化推進を目的とした要望が中心となっています。以下に、会話の流れに沿って構造的にまとめます。
1. 優先調達法の概要と仕組みの説明
厚生労働省担当者は、優先調達法の概要を説明しました。同法は平成25年4月に施行された議員立法で、障害者就労施設(A型・B型、就労移行支援事業所、特例子会社など)からの物品・役務調達を促進し、障害者の就労機会確保を目指すものです。対象機関は国、独立行政法人、地方公共団体で、毎年以下の取り組みを実施します:
- 調達目標を含む年度調達方針の策定・公表。
- 方針に基づく物品・役務の調達実施。
- 年度終了後の調達実績公表(厚生労働省ホームページ掲載)。
具体的な調達内容として、役務では印刷業務(ポスター、チラシ)、クリーニング、清掃、情報処理(ホームページ制作、テープ起こし)、飲食店運営などが挙げられ、物品では農作物、小物雑貨などが主です。これにより、障害者就労施設の事業促進を図っています。
2. 調達実績の共有と分析
担当者は、令和5年度の実績を報告しました。全体調達額は235.18億円で、平成25年の施行時(約123億円)の約2倍に増加しています。内訳は国・独立行政法人、都道府県、市町村いずれも前年度比増加です。目標設定は「調達件数または金額のいずれかが前年度を上回る」形式が多く、各機関が達成に向け取り組んでいます。
省庁別では厚生労働省が5.2億円(全体の約40%)と最多で、都道府県別では東京都(9億円)、福岡県(2.9億円)、大阪府(2.3億円)、徳島県(1.7億円)などが高実績で、徳島県は一貫して高い傾向です。市町村別はさらに細分化され、北海道など全域を含むデータが示されています。
役務の内訳では情報処理(テープ起こしなど)が注目され、IT関連業務の潜在需要が高いものの、事業所側のITリテラシー不足が課題です。物品と役務の区分で分析され、役務の上位に情報処理が入っています。
3. 発注側の業務決定プロセスとセミナー
金子氏は、行政側の発注プロセスを質問しました。担当者は、毎年6月頃に厚生労働省主催の優先調達セミナーを実施し、各都道府県の会計担当者向けに法の周知と目標策定を促していると説明。行政内部では、調達担当が業務(例: 文房具購入、清掃、ホームページ制作)を優先調達対象として判断し、目標達成のため事業所に発注します。一方、事業所側からの営業アプローチも有効で、双方向のつながりが重要です。
セミナーはオンライン形式が多く、良い事例発表も含む場合があります。平成30年頃に全国事例集を作成し、ホームページで公開中ですが、IT系事例は少なく、更新が限定的です。
4. IT関連業務の拡大と課題
会話の中心はIT業務(テープ起こし、スキャニング、ウェブサイト制作、Zoom管理など)の優先調達拡大です。金子氏は、精神障害者や知的障害者が得意とする無形サービスとしてITの潜在性を強調。愛媛県の事例(ICTチャレンジド事業組合: 17団体が共同受注、年間3,000-4,000万円受注)を紹介し、テープ起こしからウェブ制作へ進化した点を好例としました。
小野寺氏は、事業所側のITリテラシー不足と自治体のDX化遅れを指摘。福岡県の事例(BPO事業: セルプ協経由でバルトジャパンに委託、相談記録デジタル化で7,000万円受注)を挙げ、補助事業で事業所を育成した結果、行政が積極発注したと説明。ただし、この事業は日本財団や県単独の可能性が高く、国予算の詳細は不明です。
課題として:
- 事業所側の受け手能力(クオリティコントロール)。
- 行政側の業務デジタル化進捗。
- セルプ協のIT弱さ(物産中心でIT分割発注が少ない)。
- 精神障害者の増加に対応した仕事確保。
提案として、セルプ協経由の分割発注(IT特化型)や、事例共有による横展開を議論。
5. 支援予算と事業の詳細
予算関連の議論が活発です。令和6年度予算として:
- 高工賃向上計画に基づく支援(約3億円: フェア、コンサルなど)。
- 共同受注窓口支援(5.8億円: 記録強化)。
- ICT機器導入事業(3.1億円: 補正予算、二次募集中)。これは利用者の作業効率化(ロボット導入など)向けで、支援者効率化とは別。
- 生産活動収入向上支援事業(共同受注含む)。
補助率は国・都道府県2分の1、市町村負担4分の1など。IT人材育成は県単事業が多く、国レベルでは経済産業省の一般IT育成があるが、社会福祉法人対象外の場合が多い。農福連携(農水省予算)のように他省連携の可能性を指摘。
予算活用率の低さを懸念。事業所育成のためのコンサル(中小企業診断士派遣)や、知的障害者向け生成AI活用(例: 議事録要約)を提案しました。
6. 再委託の問題と法の趣旨
山本氏と小野寺氏は、再委託の懸念を指摘。優先調達で特例子会社が受注後、親会社に再委託するケースがあり、法の趣旨(障害者直接就労促進)に反すると議論。法上、再委託は禁止されていないが、性善説前提で緩く、競争排除の恐れがある。通知強化や確認強化を要望。IT分野拡大で同様ケース増加の可能性を警告し、事例確認(福岡など)を提案。
7. 今後の改善策と要望
全体として、工賃向上計画の推進を強調。行政へのアプローチとして、市町村直接相談、セルプ協活用、事例共有(福岡、大阪)を推奨。デジタル人材育成事業の拡大を求め、国・県連携の必要性を指摘。金子氏(F)は、知的障害者(IQ60程度)のAI活用可能性を個人例で示し、業務改革の重要性を訴えました。
会話は、優先調達法の有効活用とIT拡大による障害者就労促進で締めくくり、参加者間で情報共有をしました。