高齢・障害福祉サービスの処遇等について懇談:さいたま市

12日夕方から、さいたま市見沼区にあるハートバンク社にて、さいとう健一さいたま市議会議員・ハートバンク黒沢統括本部長と当団体の金子訓隆代表理事で高齢・障害福祉サービスの処遇等について多岐に渉り懇談しました。

黒沢氏は、東大宮地域福祉連盟の中心メンバーで、先日の東大宮サマーフェスティバルでも、34団体のかき氷販売などについて統括して地域を活性化しようとしているメンバーです。

懇談内容
・地域包括ケアシステムの推進
・支援員の家賃補助制度
・相談支援専門員の処遇改善
・人材流出と処遇改善
・報酬改定と人員配置基準
・サービス管理責任者・相談支援専門員の資格要件
・障害者優先調達推進法と工賃向上

障害者・高齢者支援サービスにおける処遇改善、人材確保、そして事業所の経営安定化のために、国や自治体レベルでの制度見直しや支援策の充実が必要であると結論づけている。特に、相談支援専門員への処遇改善加算の適用、家賃補助制度の創設、そして障害者優先調達推進法を活用したIT分野の仕事創出などが具体的な要望として挙げられました。

支援員への家賃補助制度については、障害児者支援施設の職員に対して、高齢者支援施設と同様の制度を想定してほしいという要望が出されました。現在、さいたま市には保育士に対する家賃補助制度がありますが、障害福祉施設は対象外となっています。この背景には、保育士にはない処遇改善加算が障害福祉施設には支給されているという理由がありますが、障害福祉施設の平均年収は依然として全産業の平均年収を下回っているのが実態です。また、給与を直接増やすと所得税や扶養の壁に影響するため、家賃補助のように給与とは別の形で本人に直接支給される仕組みが望ましいとされています。補助金は、人材の流出を防ぐため、市内に住み市内の事業所で働く職員に限定して支給することが提案されています。

相談支援専門員の処遇改善についても要望がありました。介護支援専門員(ケアマネジャー)と同様に、相談支援専門員は処遇改善加算の対象外となっています。処遇改善加算は、利用者への直接的な支援に携わる職員のみに適用されるため、計画策定などの間接的な業務を担う専門員は対象にならない現状があります。相談支援専門員がいなくなると、利用者は適切なサービスプランを立てることができなくなり、社会進出の機会を失う可能性があるため、処遇改善が必要です。この問題は国レベルで解決すべき課題であり、さいたま市から国に要望を出すことが求められています。

人材流出と処遇改善に関しては、東京都の方が待遇が良いため、さいたま市から東京都に人材が流出している現状があり、市独自の人材流出を防ぐための施策が必要とされています。また、介護職員の処遇改善加算がケアマネジャーの給与を追い抜くという不均衡も問題視されています。

報酬改定と人員配置基準については、令和6年度の報酬改定で訪問介護がマイナス改定になることが決まっています。しかし、訪問歯科診療との連携を行うことでプラス改定となる仕組みも存在します。これは予防医療の一環として、口腔ケアが健康寿命を延ばすという事実に基づいています。

サービス管理責任者・相談支援専門員の資格要件に関しては、取得に5年の実務経験が必要であり、この要件が厳しすぎるとの声がありました。経験年数だけでなく、実技試験などを導入し、個々の能力で判断する制度への見直しが求められています。また、資格更新研修費の補助制度についても、会社負担ではなく本人に直接補助金を支給する方式が提案されました。

障害者優先調達推進法と工賃向上については、障害のある方がITやDX化に関連した仕事を受注できるよう、国が通達を出す予定です。現在、埼玉県の就労継続支援B型の平均工賃は全国平均を下回っており、工賃向上を喫緊の課題としています。愛媛県では、複数の事業所が共同でIT関連の仕事を受注するモデルケースが成功しており、さいたま市でも同様の仕組みを導入することで、工賃向上を目指すことが提案されています。この法律は、以前は物品に限定されていましたが、法改正によりサービスも対象となり、清掃業務なども発注できるようになった背景があります。この法律を活用し、市や県からの発注を増やすための「草の根運動」が必要とされています。

これらの要望は、障害者・高齢者支援サービスにおける処遇改善、人材確保、そして事業所の経営安定化を目的としており、国や自治体レベルでの制度見直しや支援策の充実が必要であるとの認識が示されました。

この懇談内容を基に、さいたま市の来年度予算についての要望など提起して頂く予定です。