OGAグループ 小笠原社長(鬼平コロッケ展開)らと懇談:神戸市長田区

2025年6月30日、神戸市長田区にて、OGAグループ代表・小笠原由晃社長、CMO永田卓氏らと、山本博司参議院議員、(株)シーアイ・パートナーズ家住社長、本田専務、当団体のの金子訓隆代表理事らによる障がい福祉と地域共生についての懇談が行われた。


■ OGAグループの概要と発展経緯

OGAグループは、小笠原社長の母と共に立ち上げた「有限会社神戸ケアエース」(平成16年創業)から始まり、現在は訪問介護、就労継続支援、放課後等デイサービス、グループホーム、介護タクシーなど福祉事業を中心に展開。「株式会社OGA」では、コロッケ専門店「鬼平コロッケ」、スタジアム内レストラン「ウルティモ」、出張ヘアメイクなど多彩な営利事業も運営している。さらに「NPO法人K.O.B.E」も含め、地域に根差した福祉・経済の両面での活性化に取り組んでいる。

事業成長の背景には「後継者不在の企業を引き継ぐ」というスタイルがある。中でも、「鬼平コロッケ」は、当初4店舗を引き継ぎ、業績不振の2店舗を整理後、現在では12店舗とセントラルキッチン2拠点へと拡大。年間売上は約7.5億円にのぼる。


■ 鬼平ころっけと障がい者雇用

「鬼平ころっけ」の成功には障がい者の活躍が深く関わっている。月5トンの玉ねぎの皮むきや、串カツの串刺し作業など、多くの工程にB型・A型就労支援事業所が関与しており、施設外就労として実店舗や工場での実務経験を積んでいる。

コロッケ製造数は年間約350万個。地域密着型の就労支援が、製造・販売の中核を支えている。工場では常時B型作業者4名、A型3名が従事。さらに、リサイクル事業や着物リメイクなども展開し、能力に応じた多様な働き方を提供している。


■ 福祉とビジネスの“融合”

小笠原氏のスタンスは「できる人ができることを、できる場所で」。障がい者を“支援対象”とするのではなく、一人の「仲間」「ファミリー」として迎え、等しく仕事の責任と対価を共有する。事業所における日々の支援では「見た目で障害があると思われたくない」という利用者の声を尊重し、身だしなみやコミュニケーションスキルにも配慮。カフェ等ではリアルな接客訓練を通じて、自信や社会性を育んでいる。

福祉制度内での活動に留まらず、「制度外」の営利空間へ積極的に送り出すことで、本人の成長と地域理解の促進を目指している。施設外就労による“本物の現場体験”がその象徴だ。


■ 農福連携・人材課題への対応

「畑ライフ」という法人を立ち上げ、農地活用を通じた福祉事業にも着手。農業と福祉の融合による新たな就労機会を模索しており、今後の事業展開に期待が寄せられている。

また、深刻な人材不足を受け、ベトナム人を中心とした外国人材の登録支援機関も運営。日本国内の転職希望者に焦点をあて、過酷な労働条件下にある外国人を適正な環境へとつなげる。住まいの確保に向けて不動産事業も手がけ、自社グループで住居提供・就労・支援を一体化させた体制を構築しつつある。


■ 地域・人への強い想い

神戸市長田区は生活保護率が高く、日雇いや借金など社会課題の多い地域である。小笠原氏は「この地域で生まれ育った自分だからこそできることがある」と語り、地元商店街の振興組合理事長も務めるなど、地域活性にも積極的に関わっている。

過去には阪神・淡路大震災で自宅が全壊する被災経験もあり、家族と共に苦難を乗り越えたことが今の活動の源となっている。「問題を抱える会社を引き継ぎ、再建することにやりがいを感じる」という言葉通り、どの事業も「人への想い」と「困りごとの解決」が起点となっている。


シナジーを生み出すグループ戦略
OGAグループは、各事業が連携し、シナジー効果を生み出すことで、社会課題の解決と事業成長を両立させています。

農福連携の推進: 「鬼平コロッケ」の原材料となる玉ねぎの皮むき作業を障がい福祉事業所である神戸ケアエースのB型事業所が担うことで、約月間5トンもの玉ねぎの皮むきを効率的に行っています。将来的には、自社で農園を運営し、米などの生産から加工、販売までを一貫して行う「農福連携」を目指しています。

外国人材の活用: 人手不足が深刻な飲食業界において、ベトナム人を中心とした外国人材の紹介や受け入れを積極的に行っています。これにより、外国人材には安定した職を提供し、鬼平ころっけには必要な人材を確保するという、双方にメリットのある仕組みを構築しています。

不動産・リフォーム事業: 外国人材が日本で働く際に必要となる住居の確保のため、不動産事業を展開し、リフォームも自社グループ内で行うことで、グループ全体で人材の受け入れから生活基盤の支援までを一貫して行っています。

リサイクル事業: 一般廃棄物業者との提携により、リサイクル品の回収から販売までを一貫して行い、ここでも障がい者の就労の場を創出しています。

ベトナム人工務店の設立: 建設費の高騰に対応するため、ベトナム人による工務店を設立し、グループ内の店舗建設やリフォームを適正価格で行うことで、コスト削減と新たな雇用の創出を図っています。

■ まとめ:多角的経営と“やさしい資本主義”

小笠原社長の事業は、単なる福祉や飲食業の枠に収まらず、多角的に展開される“やさしい資本主義”の実践例といえる。企業再生、障がい者雇用、福祉×飲食×農業の融合、外国人材の支援、不動産といった幅広いジャンルを“地域共生”の視点で結びつける経営は、全国的にも注目に値するモデルである。

山本議員はこの日、「一人ひとりをファミリーと呼び、幸せにしたいという思いに感銘を受けた」と感想を述べ、本懇談を通じて政策支援の在り方を再考するきっかけとなった。
OGAグループは、福祉とビジネスを融合させ、多角的な事業展開を通じて社会課題の解決に貢献するだけでなく、地域に根差した「ファミリー」という考え方で、社員や地域の人々を幸せにすることを目指しています。彼らの挑戦は、まさに「人」を中心に据えた持続可能な社会づくりのロールモデルと言えるでしょう。