『障がい児を“おやじ” が支援』と題して掲載されました

2014年5月10日付け 公明新聞5面に” おやじりんく” の活動が掲載されました。

『障がい児を“おやじ” が支援』と題して掲載。

取材は、おやじりんくが運営する、児童発達支援・放課後等デイサービス『輝-HIKARI- さいたま』で、子どもをお預かりしている状況を取材されました。

また、代表理事の金子が、おやじりんく設立の経緯から、これからのおやじりんくについてインタビューを受けた内容ついても掲載されています。

以下に記事全文を引用します。
『障がい児を“おやじ” が支援』
 発達障がい児を持つ父親たちでつくるNPO法人「おやじりんく」(金子訓隆代表)。母親と比べて交流する機会が少なかった父親を対象にしたミニ懇談会の開催が主な活動でしたが、昨年9月からは、障がいがある就学児童・生徒を預かる「放課後等デイサービス」なども始めています。現場を訪れるとともに、金子代表にインタビューしました。

 午後2時過ぎ、おやじりんくがさいたま市で運営する児童発達支援・放課後等デイサービス施設「輝―HIKARI―さいたま」(山中弘幸施設長)に学校を終えた子どもたちがスタッフの運転する車で到着しました。
 手洗いを済ませたら、「2時20分に児童センターへ行く」「3時25分におやつ」など、1日の流れを文字や絵カードを使って確認します。物事の見通しが立たないことで不安を感じてしまう子どもに安心感を与えるとともに、言葉と視覚情報の関係を教えるのが狙いです。
 ひとくくりに発達障がいといっても、「じっとしているのが苦手」「言葉によるコミュニケーションが困難」「パニックを起こしてしまう」など、子どもたちの特性はさまざま。そのため、一人一人の特性に合った個別支援が重要になります。
 そこで欠かせないのは、家庭や学校との情報共有です。子どもの気持ちが不安定になった時、何が原因でそうなったのかを本人から聞くのは難しいケースがほとんど。連絡帳を基に施設以外で普段どのように過ごしているのか、きょうは何があったのかを把握し、支援に生かします。
 このようにして、気持ちを不安定にした問題や原因を理解・対処しないと、場合によっては二次的な障がいが発症し、他害行為や自傷行為につながる可能性もあります。逆に、丁寧な個別支援によって、二次障がいを予防することができるのです。
 責任が伴う仕事だけに、施設の立ち上げに当たってはスタッフが集まるかが懸念されました。しかし、父親たちの熱心な呼び掛けに、障害児を持つ母親たちが呼応して「自分の子育て経験を生かしたい」と名乗りを上げてくれました。同じ立場で支え合う親のネットワークによって現在、埼玉県内に二つの施設を運営しています。
 山中施設長も、障がい児を持つ親の一人です。以前は社会人教育の会社に勤めていましたが、昨年9月に脱サラし、今年3月から施設長を務めています。率直に今の感想を尋ねてみると、「自分の子どもが一気に増えたような感覚ですね」と笑顔で答えてくれました。

―なぜ、おやじりんくを立ち上げたのですか。
金子 障がい児の母親は「〇〇くんをたたいてしまった」「△△ちゃんと仲がいい」など、子どもの「今」を細やかに見るのにたけています。これを私は「顕微鏡の視点」と呼んでいます。一方で父親は、大局観に立って子どもの未来を考えるのが得意です。これは「望遠鏡の視点」といえるでしょう。
障がい児の支援には両方が欠かせませんが、保護者の会に行くと、来ているほとんどは母親です。そこで、広汎性発達障害がある私の息子・真輝の子育て状況を記したブログを通じて「望遠鏡の視点で子どもの自立・就労支援をしよう」と情報発信し、父親たちとの懇談会を重ねてきたのが設立のきっかけです。

―自立・就労支援をしようと考えた理由は。
金子 障がい児を持つ親が一番心配しているのは「自分亡き後のわが子の姿」であり、"その時"に備えた長期的な自立支援を行うべきと思ったからです。児童発達支援・放課後等デイサービスは、その第一歩といえます。
また、自立への一番の課題は就労です。各職場で仕事のプロとして働いている父親たちが持つ技能・経験を生かせば、障がい者への新しい雇用創出に可能性を強く感じました。将来的には、就労移行支援施設や就労施設の設置も視野に入れています。

―今後の決意を。
金子 社会保障費が膨れ上がる現代日本において、将来的に障がい者への行政支援が削られる可能性は否定できません。ただ、その中においても介助がなければ生きることが困難な本当に重い障がいのある人は絶対に守らないといけないと考えています。そのためにも、自立・就労支援をしっかりすれば少しの支援で働ける障がい者に対しては、私たちのような民間の団体や企業でサポートするという気概で臨んでいます。
とはいえ、おやじりんくだけで日本全体を見るのは難しいので、私としては第2、第3のおやじりんくが各地域で生まれてくることを期待します。