令和8年6月度輝HIKARIスタッフ研修会総括要約:動画・スライド
1.研修の背景と「アンプラグド・ミーティング」の意義
今回の研修会では、普段ITや生成AIの話題を中心に発信している金子代表理事が、あえてパソコンやプロジェクターを一切使用しない「アンプラグド(Unplugged)」な形式を選択した。現代社会において、スマートフォンやIT機器に依存しすぎることは、人間の「自ら考える力」を低下させる懸念がある。あえてデジタルから離れ、同じ職場の仲間が膝を突き合わせて共に悩み、頭を使い、勇気を持って発言する場を設けること自体に大きな意義がある。
この場における発言を否定する者は誰一人としておらず、互いに補完し合っていくことこそが真のチームワークである。スタッフ一人ひとりがノーマルに頭を働かせて議論を深め、その生身の思考結果を最終的にAIへとフィードバックして循環させていくことこそが、本来の健全なIT・AIの活用方法である。
なお、今回の座席配置やタイムテーブル(22名~24名などの変動に対応し、普段顔を合わせないスタッフ同士をGoogleマップの距離データ等に基づき最適に組み合わせる仕組み)は、すべて事前に金子代表が作成したプログラムと生成AIによって構築されている。不測の欠席者にも即座に対応できる柔軟なシステムを裏側で駆使しつつ、表舞台では人間同士のリアルな対話を最優先する構造がとられた。
2.研修で扱った3つのテーマと心理学的アプローチ
今回の研修では3つのテーマが扱われた。これらはすべて心理学や行動科学に基づき、意図的に設計されたものである。
①第1のテーマ:ポジティブな変化のシェア(バイサリングと行動支援)
嬉しかったことやポジティブな変化を共有し合う試みは、心理学における「バイサリング(Sharingpositiveevents)」やポジティブ行動支援、応用行動分析学(ABA)の「強化理論」に基づいている。
良い出来事を誰かに話し、周囲が「すごいね」と一緒に喜んで褒めることで、本人の脳内の喜びは2倍に膨らむ。どんな小さな変化であっても、周囲が寄り添い認め合うことが重要である。
一方で、ネガティブな課題や悩みを打ち明けられた際には、決して放置せず「そうだね、私もそう思うよ」と共感し、解決へのヒントを添えて対話を行う。これにより、相談した側の脳内のネガティブな苦しみや悲しみは半分に軽減される。この「喜びは2倍に、悲しみは半分に」する対話の力こそが、第1のテーマの核心である。
②第2のテーマ:垣根を越えて助け合うチーム(向社会的組織行動)
施設の枠だけでなく、年齢、性別、そして「保育士」「理学療法士」「言語聴覚士」「作業療法士」「社会福祉士」「精神保健福祉士」「公認心理師」「教員」といった多種多様な専門性の垣根を越えて助け合う関係性(リレーショナル・コーディネーション)の構築を目指した。
自身の専門領域を越えて他者に踏み込むことには心理的なリスク(ためらい)を伴うが、組織内に「この人に相談すれば絶対に受け入れてもらえる」という「心理的安全性」が担保されていれば、そのリスクを乗り越えて深く分かち合うことができる。
特に、同期のいない環境で緊張や不安を抱えながら一歩を踏み出している新入職員に対しては、周囲のスタッフが真摯に向き合い、その経験や意見を丁寧に拾い上げることが強固なチーム形成へとつながる。
③第3のテーマ:これからの輝HIKARI(世代継承性:ジェネラティビティ)
心理学におけるエリクソンの発達段階に登場する「世代継承性(ジェネラティビティ)」に焦点を当てた。40代以降の中年期に差し掛かると、人間は「次の世代を育み、彼らが生きる未来の社会をより良くしたい」という心理的課題に直面する。
研修内でスタッフから「10年後」というキーワードが出された通り、10年後も輝HIKARIが存続し、より良い支援を提供し続けるためには、現世代の知恵や資源を注ぎ込んで次世代の育成能力を高めていくことが不可欠である。はじめての試みであるこのグループワークは、輝HIKARIの未来を創ための強固な基盤となる。
3.障害福祉の本質と「支援者」への到達
障害福祉の仕事は、時に感情的になりやすい過酷な側面を持つ。子どもから身体的な衝撃を受けるような場面であっても、感情に任せて理性を失わないためには、スタッフ自身のスキルと思考力、能力を高め続けることが必要であり、それが結果的に虐待防止や支援力の向上へと直結する。
また、障害者に対する世間の関わり方には「理解者」「協力者」「支援者」という3つのパターンが存在する。
■理解者:駅のホーム等で白杖を持った盲目の方とすれ違う際、自然と道を譲るような関わり方。日本にはこの「理解者」層が非常に多い。しかし、「その人の生活をすべて背負って面倒を見てほしい」と言われれば、一般の理解者には限界がある。
■協力者:理解者の役割を超え、対価(給料等)を受け取るビジネスの仕組みの中で障害者の生活を支える関わり方。しかし、昨今の障害福祉サービスにおいて巨額の不正請求事件が頻発しているように、単に「儲かるから」という理由だけでビジネスとして関わり、障害者への本当の理解や愛情を欠いた「形だけの協力者」がのさばるアングラな現実もある。
■支援者:金子代表がスタッフに最も求めている姿。これは「深い理解の上に、真摯な協力が重なった状態」を指す。スタッフ一人ひとりがすでにその領域に達している、あるいはそこを目指して日々研鑽を重ねていくことこそが、プロフェッショナルとしての本来の姿である。
4.今後の研修構想と親支援の難しさ
金子代表の頭の中には、研修プログラムのグランドデザイン(構想)が既に構築されている。
・第2回(夏休み前予定):テーマは「ワーク・ライフ・バランス」。お互いの「推し活」や趣味を語り合うような、プライベートな側面でのプラスの意見を会社に反映できるスタイルを目指す。
・第3回:事例検討会などを企画。場合によっては保育学科の学生らも交流して共に学ぶ機会を設ける。
・第4回:「ペアレント・トレーニング」などの技術的・専門的な内容へとステップアップする。
特に親支援(ペアレント・トレーニング)においては、どんなに学術的な正論を伝えても、ワンオペ育児や家庭環境の悩みを抱える母親の感情論(「あなたに私の気持ちの何がわかるのか」という反発)に直面し、志半ばで潰れていく支援者が後を絶たない。
一筋縄ではいかないリアルな親の心理にスタッフがどのように寄り添い、信頼関係を築けるかを実践的に学ぶ、極めて高度なセッションを予定している。
5.究極の結論:「誰も辞めない組織」と輝HIKARIの財産
今回の研修のプロセス(音声データ、付箋、A4のワークシートなど)は、すべて文字起こしおよびスキャンを経てデータ化され、PythonコードやGemini等の生成AI、NotebookLMを活用して多重に集約・分析され、輝HIKARIの「持続可能な知の財産」として蓄積される。これは他法人には真似できない、輝HIKARIらしさそのものである。
しかし、金子代表がこれほどまでにAI技術を駆使し、緻密な研修を設計して発信し続ける「究極の目的」は、スタッフの能力向上そのものではない。
その本質的な意図は、「誰一人として、職場を辞めてほしくない」という強い願いにある。
福祉の現場において、ネガティブな課題を一人で抱え込み、専門性の垣根を越えられず、未来への希望を持てなくなったとき、人は「孤独」に陥り、組織を去ってしまう。人手不足が深刻な業界だからこそ、今ここにいるメンバー全員を何よりも大切にしたい。孤独を排除し、全員が来年の3月31日を笑顔で迎え、4月に新しく入ってくる新入職員を「素晴らしい先輩」として迎え入れられる環境を創ること。そして、人が増え、組織が成⾧したならば、それに合わせて施設を増やしていけばよい。
日々、送迎の運転や添乗、連絡書の作成など、時間が足りないほどの過酷な業務に直面しているスタッフへの深い感謝を述べるとともに、この「誰も孤独にさせず、大切にする」仕組みの実現に向けて、今後も第2回、第3回と続く研修への協力を呼びかけ、総括の言葉とした。











