第39回 Bluesky勉強会を開催:永田町
7月28日夕方から参議院議員会館にて、第39回Bluesky勉強会が開催されました。Bluesky勉強会は、平成26年8月に第1回が開催されて以来、ICTの利活用など情報通信の分野を中心に議論を重ねてきた勉強会です。
今回で39回目を迎え、会場とリモートをあわせたハイブリッド開催で90名を超える多くの皆様にご参加いただきました。当団体(輝HIKARI)の金子訓隆代表理事は、本勉強会の事務局として運営を担当しています。ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

式次第と当日の内容は以下の通りです。
- あいさつ原田大二郎 参議院議員による1年間の国政報告が行われました。
- 講演「デジタルアーカイブ戦略」の概要について講師:内閣府知的財産戦略推進事務局 参事官 福田和樹 氏デジタルアーカイブが日常に溶け込んだ豊かな創造的社会の実現を目指し、2026年度以降の5カ年戦略についてご説明いただきました。
- 講演「障害者デジタルしごと応援事業」について講師:日本財団 公益事業部 シニアオフィサー 竹村利道 氏補足説明:日本財団 アドバイザー 山本博司 氏蔵書デジタル化の仕事を障害のある方が担い、工賃向上に取り組む新たな就労支援モデルについてご説明がありました。図書のデジタル化という仕事を通じて工賃が大きく向上する可能性や、障害者優先調達推進法を活用した取り組みが紹介されました。また、山本博司アドバイザーからは事業への取り組みに加え、参議院議員勇退後1年間の活動についての報告もありました。
- 質疑応答
なお、会合開始直前に発生した熊本地震に関しまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地の皆様のご安全と、一日も早い復旧・復興を輝HIKARI一同お祈り申し上げます。
以下に第39回Bluesky勉強会の内容をレポート形式で報告します。


第39回 Bluesky勉強会 議事要約レポート
【開催概要】
- 日時:令和8年(2026年)7月28日(火)17:00~18:45
- 場所:参議院議員会館 地下1階 B103会議室(会場・リモートのハイブリッド開催)
- 司会進行:品川マルクス高志 氏
- 参照URL:https://www.yamamoto-hiroshi.net/bluesky
1. 冒頭挨拶およびミニ国政報告(原田 大二郎 参議院議員)
初当選(昨年7月20日参議院選挙)から1年を迎えた原田大二郎参議院議員より、1年間の国政活動報告が行われた(国会討論・質疑は年間29回)。なお冒頭、直前に熊本で発生した地震(最大震度7)への懸念と迅速な対応・ネットワーク連携について言及がなされた。
- 高額療養費制度の見直しと課題追及:本年8月および来年8月に実施される自己負担上限額引き上げに対し、がん患者等の長期治療に伴う経済的負担増の実態を指摘。償還払い(後日払い戻し)制度の問題点や政府調査の不足を訴え、現場の患者生活実態に即した制度設計と現物給付化の必要性を予算委員会等で総理に直接迫った。
- がん医療の質的転換:生存期間の延長にとどまらず、尊厳ある生活の維持、就労・社会参加の両立、生活の質(QOL)向上を重視する医療施策への転換を訴えた。
- 障害者デジタル就労の推進:行政・地域の紙文書等をデジタル化する作業を障害者が担うことで、工賃向上と行政効率化、地域資源の有効活用を同時に実現する「一挙両得・一挙三得」の共生社会施策を、山本博司氏らとともに力強く展開していく姿勢を示した。
2. 講演:「デジタルアーカイブ戦略」の概要について(講師:内閣府 知的財産戦略推進事務局 参事官 福田 和樹 氏)
内閣府知的財産戦略推進事務局の福田和樹参事官より、2026年度以降の5カ年を見据えた「デジタルアーカイブ戦略」の基本概念と施策の概要が解説された。
- アーカイブの本質的意義:単なる一時的記録(レコード)や一時的保護(リザベーション)とは異なり、文化的・学術的コンテンツ等を永続的に保存・保管・伝承すること自体に意義がある。公文書館・図書館・美術館・博物館が中心となり、特に公文書館は歴史的事実を後世に正確に伝える役割を果たす。
- 基本施策と横断的基盤:
- メタデータ整備と2次利用条件の明示:多様な機関でばらばらになりがちな資料番号・管理ルール・許諾条件(有償・無償、二次利用の可否など)を統一・参照可能にし、利活用を促進する。
- 「ジャパンサーチ(Japan Search)」の維持管理:国や自治体、民間のデジタルアーカイブを一覧・横断検索できるプラットフォームとして機能強化を図る。
- 多様なコンテンツへの拡大:文化財だけでなく、災害記録(東日本大震災・熊本地震等)の伝承や観光・地域資源のアーカイブ化も対象とする。地方自治体に対しては地方交付税等を活用したデジタル化の取り組みを呼びかけている。
- 知財・生成AI・アクセシビリティ:著作権処理や生成AIと知的財産権をめぐる課題、国際的な情報アクセシビリティ基準への適応などが今後の重要な検討テーマとなっている。
3. 講演:「障害者デジタルしごと応援事業」について(講師:日本財団 公益事業部 シニアオフィサー 竹村 利道 氏)
日本財団の竹村利道氏より、国立国会図書館の蔵書デジタル化事業を皮切りに、障害者施設の工賃向上と福祉的就労の構造改革をもたらした「障害者デジタルしごと応援事業」の成果と今後の展望が発表された。
- 福祉的就労の現状打破と参入の経緯:全国の福祉的就労者(約57万人)の平均工賃は月2万円程度と低く、生活保護に依存せざるを得ない現状がある。「支援される存在」から「社会を支える担い手」への転換を目指し、2020年の国会図書館蔵書デジタル化補正予算(207億円)を契機に参入した。
- 高いクオリティと実績:当初は障害者施設での対応に懸念の対応をされたものの、2年間の実績を通じて大手IT・印刷企業(凸版印刷・武蔵・三井等)を抑え、国会図書館幹部から「最も品質が高い」と評価を受けるまでに至った。
- 優先調達法の政令改正とスケールアップ:国際協定(SDR規定)による1,500万円の調達上限が壁となったが、官邸・財務省・厚労省等への働きかけにより政令(予決令等の特例)改正を実現。上限なしでの受注が可能となり、受注規模は7.5億円(1,100万コマ)に達した。全国13拠点(熊本等)で約400名が従事し、月額工賃10万円~12万円を達成する事例が多数生まれている。
- 自治体行政文書への展開と将来構想(BPOセンター):福岡県での成功を皮切りに、建設図面や児童相談所の不透明な紙資料・虐待写真等の完全デジタル化を実施し、行政DXに貢献している。将来的には、厚労省の研修型工賃倍増予算(約7億円)を再編し、官公庁からの案件を一括受注・分配する「BPOナショナルセンター」の設立を目指している。
4. 報告および質疑応答(報告:山本 博司 氏 / 会場参加者)
(1) 山本 博司 氏(参議院議員勇退後1年間の活動報告)
参議院議員勇退後の1年間、日本財団アドバイザー(本年2月就任)として「障害者デジタル仕事応援事業」の全国展開(徳島・鳥取・香川・島根等の知事トップ会談)に奔走したほか、超党派議連の幹事長・顧問として以下の重要法案を推進・成立させた。
- 高次脳機能障害者支援法(昨年12月成立・今年4月施行):推計23万人(潜在的70~80万人)とされる高次脳機能障害者に対し、ライフステージに応じた切れ目ない支援体制を構築。全国都道府県への支援センター設置を法制化した。
- 医療的ケア児支援法改正(今年7月24日成立):18歳の壁(成人後の支援断絶)を解消するため、大人(生活介護・居住等)への支援拡充、重症心身障害児者や難病(ALS等)へ対象を拡大(7万人規模)。
- 発達障害者支援法改正運動・親なき後支援:日本発達障害ネットワーク(JDDネット)顧問に就任し約18万人規模の会員組織と連携。さらに、85%の親が抱く「親なき後の不安」解消に向け、地域生活支援拠点の整備を進めている。
(2) 質疑応答・意見交換の要点
- 報道メディアの課題と障害者のプライド:社会課題解決と高品質・高工賃を実現する先進事例が大手メディアで取り上げられない現状への懸念と、障害者が自身の力で稼ぎ尊厳を持つことの重要性が議論された。
- 当事者主体のアーカイブとアクセシビリティ:障害者運動の歴史自体を当事者の手でデジタル化する構想や、情報アクセシビリティ保障の推進が提案された。
- 制度の隙間に漏れる家庭への対応:多重な課題(視覚障害・難病・高次脳機能障害等)を抱え重度認定や既存制度の枠から漏れてしまう家庭の実態が提起され、合理的配慮や法制度の継続的見直しの必要性が共有された。



