社会福祉法人みずき福祉会「町田福祉園」視察〜重度障害のある方の尊厳ある暮らしと、地域支援体制の未来を考える〜

13日午前、東京都町田市にある社会福祉法人みずき福祉会の障害者支援施設「町田福祉園」およびグループホーム「しえる」を訪問・視察いたしました。

今回の視察は、元参議院議員の山本博司氏、元厚生労働省障害者雇用対策課長の小野寺徳子さん、公明党の村松俊孝都議会議員、そして町田市議団の皆様(松葉ひろみ市議、園城よしひさ市議、小野寺学市議、馬場行正市議、森順子市議)と共に、参加いたしました。

阿部美樹雄理事長をはじめとする職員の皆様に温かく迎えていただき、施設内の見学とともに、現場が直面する切実な課題とこれからの障害福祉のあり方について極めて濃密な意見交換を行いました。

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1. 施設見学:「その人らしい人生」を支える多職種連携と地域交流の拠点

みずき福祉会は1984年に障害のある方のご家族と支援者によって発足し、1991年に法人認可、八王子平和の家の開設を経て、平成18年に東京都より町田福祉園の運営譲渡を受けました。現在は施設入所支援(80名)、生活介護(115名)、短期入所(5名)に加え、精神科等を標榜する診療所や「相談支援センターすばる町田」を併設し、グループ全体で300名を超える専門職が暮らしを支えています。

施設内には体育館、温水プール、陶芸室など充実した設備が整い、医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、公認心理師、管理栄養士といった多様な専門職が連携し、利用者一人ひとりの特性やバイオリズムに合わせた個別性の高い日中活動を提供されていました。

また、相談支援員の鈴木千穂さんのご案内で見学したグループホーム「しえる」は、1階・2階各5名定員でエレベーターも完備されたバリアフリー設計です。併設された地域交流スペース「ひのきの間」は、無塗装の国産ヒノキの香りが広がる落ち着いた空間で、「みんなの食堂」や「しえるマルシェ」など、地域住民や子どもたちが自然に足を運ぶ場となっています。施設が孤立するのではなく、「地域の人々が行き交うハブ」として息づいている姿に強く感銘を受けました。

2. 意見交換:阿部理事長が語る「都市部の構造的課題」

意見交換では、長年日本の障害福祉を牽引してこられた阿部理事長より、現場の肌感覚とデータに基づいた極めて示唆に富むお話を伺いました。

  1. ショートステイと受け皿の圧倒的不足
    地域生活を支える3本柱は「ショートステイ」「ホームヘルプ」「デイサービス」ですが、町田市内では特別支援学校を卒業する生徒が毎年約50名いるのに対し、日中や居住の受け皿が極めて逼迫しています。
    特にショートステイは、八王子市と比較してもリソースが半分程度にとどまり、町田市内で受け入れ可能な入所施設は実質2カ所のみという厳しい現実があります。全国のショートステイの約62%を入所施設が担っている現状があるものの、単独型ショートステイでは現行の報酬単価で採算を取ることが困難であり、事業所が必死の努力で枠を確保している構造的な問題が共有されました。
  2. 民間グループホームの急増と「真の脱施設化」の本質
    近年、民間参入によるグループホームが急増する一方で、支援の質や運営をめぐる課題が全国的に顕在化しています。国連人権委員会からの脱施設化勧告にも触れつつ、阿部理事長は「単に少人数だから、グループホームだから良いという話ではない」と指摘されました。大切なのは規模の大小にとどまらず、「利用者が真に主体となって自らの暮らしを選択・決定できる環境(意思決定支援)があるか」という本質的な問いです。

3. 新施設建替え構想:監視型から「4人ユニット」と「見守りテクノロジー」へ

町田福祉園では、10年来の課題である建替え計画が本格化しています。広大な敷地(約7,000坪)を活かし、阿部理事長が構想されている新施設の設計思想には、これからの福祉建築とケアのモデルとなるべき先進性が詰まっていました。

  • 管理・監視型(ウイング型)からの完全な脱却
    効率や職員の監視を優先した病院のようなウイング型配線ではなく、「全国初となる1ユニット4人規模の生活空間」の実現を目指されています。重症心身障害や最重度の知的障害がある方々であっても、家庭的な落ち着きとプライバシーを確保できる居住環境の追求です。
  • 間接照明と環境アセスメントによる刺激の低減
    ダウンライトなどの直接照明を排除した間接照明の採用や、外の自然(林の景観)を取り入れつつも過度な視覚刺激を抑える窓ガラスの工夫など、感覚過敏や不安を抱える方への環境配慮が徹底されています。
  • ミリ波レーダー等、最先端テクノロジーによる見守りと職員の負担軽減
    重症心身障害の方々の夜間急変リスクに対し、天井設置のミリ波レーダー等を用いて非接触で脈拍や体動、浅い眠りを検知する仕組みの導入を進められています。これは利用者の安全を守るだけでなく、夜勤職員の精神的・身体的ストレスを劇的に緩和するためのテクノロジー活用であり、私自身が日頃から重視している「福祉×IT」の観点からも強く共鳴いたしました。
  • 地域とつながる「みずきストリート」とホール構想
    敷地内を地域住民が自然に通学・散歩できる遊歩道「みずきストリート」として開放し、体育館も音響設備を備えた多目的ホールとして地域貸出や発表会に活用するなど、敷地全体を地域共生のキャンパスにする設計です。
  • 強度行動障害への高度な専門的アプローチ
    かつては職員が防具を身につけざるを得ないほど困難を極めた最重度の強度行動障害の方々に対し、時間をかけて丁寧なアセスメントと構造化された支援を行い、穏やかな生活を取り戻してきた実践の蓄積があります。中核的人材の育成を含め、高度な専門技術をいかに地域へ還元していくかが今後の鍵となります。

4. 視察を終えて:輝HIKARIとしての決意と次の一歩

私ども特定非営利活動法人 輝HIKARIでは、児童発達支援や放課後等デイサービスを通じて、主に障害のある子どもたちとそのご家族を支援しています。

しかし、子どもたちは必ず成長し、青年期・成人期を迎えます。学校を卒業した後に待っている「日中の居場所」「暮らしの場(住まい)」「緊急時のショートステイ」が不足していれば、ご家族のレスパイトやご本人の自立的な人生設計は成り立ちません。今回の視察を通じて、児童期から成人期・高齢期に至るまで、切れ目のない「地域生活の連続性」をどう地域全体でデザインしていくかという命題を改めて突きつけられました。

阿部理事長が長年培ってこられた「利用者の主体性を尊重する哲学」と「先駆的な実践力」、そして建設コスト高騰や制度的制約という厳しい壁に対峙しながらも町田の地に根ざし続ける熱意に、深い敬意と勇気をいただきました。

国政で福祉政策を牽引されてきた山本博司氏、行政の現場を知り尽くした小野寺徳子さん、そして地域政策を担う都議会・市議会の先生方と共にこの現場課題を共有できたことは、今後の制度改善や地域連携に向けた大きな一歩です。

阿部理事長をはじめ、ご案内いただいたみずき福祉会の皆様、ご一緒させていただいた視察団の皆様に心より感謝申し上げます。