「障害者デジタルしごと応援事業」東京コロニー 大田福祉工場を視察
〜目黒区の障害者団体懇話会・渥美会長、行政関係者の皆様、公明党議員団の皆様とともに〜
5月28日の夕方、社会福祉法人 東京コロニー「大田福祉工場」を視察いたしました。
今回の視察は、日本財団アドバイザーの山本博司氏(元参議院議員)をはじめ、目黒区の障害者団体の皆様、行政関係の皆様、そして公明党の小林健二都議、目黒区議団(川原のぶあき氏・佐藤ゆたか氏・関けんいち氏・はまようこ氏)、さいたま市議会の斉藤健一市議での訪問となりました(私ども輝HIKARIからは、大谷貴志理事も同行しております)。この事業については、5月11日にも公明党の竹谷代表らが視察に訪れるなど、今まさに大きな注目を集めています。
私自身、日本財団が推進する「障害者デジタルしごと応援事業」の最前線であるこの大田福祉工場を直接拝見し、今後の障害者就労の可能性、そして私たちが向き合う地域福祉の未来にどう活かしていけるかを深く考える貴重な機会となりました。
福祉の枠を超えた高水準な「職能開発」と「工賃向上」
この事業は、日本財団が国立国会図書館の蔵書デジタル化事業を「障害者優先調達法」に基づいて受託し、全国13か所の障害者施設へと横展開しているものです。大田福祉工場はその先進的な一拠点となります。
日本財団がスキャン環境の整備などを100%補助(1拠点あたり1億円規模)でバックアップすることにより、利用者の皆様の工賃が月2万円から「7万円〜10万円」へと大幅に拡充。利用者の方々や施設側にとっても、大きな喜びとモチベーションに繋がっています。現在は、福岡県で成功しているモデル(国会図書館の蔵書に加え、年間6千万円規模にのぼる「県の行政文書」などのDX化)を全国に広げる取り組みが進められており、そのスピード感と社会的インパクトの大きさを肌で感じました。
また、東京コロニー 大田福祉工場は、就労継続支援A型・B型、就労移行支援、就労定着支援を併せ持つ多機能型施設です。創立から50年、ワンストップサービスの印刷工場として官公庁から一般企業まで幅広い信頼を得ておられます。驚くべきは、A型利用者の方々の待遇です。一般の正規従業員と給与や処遇に差はなく、障害の有無ではなく個人の経験やスキルが正当に評価されており、2023年度のA型利用者の平均年収は410万円(賞与込み)に達しています。これは福祉施設の枠を超えた、一つの完成された「プロフェッショナルの職場」だと実感させられました。
技術と品質を担保する「プロとしての誇り」
大田福祉工場では2021年から、障害者施設としては日本で初めてこの国会図書館の蔵書デジタル化に挑戦されています。
最初は国会図書館側にも「専門性の高い高度なデジタル化が本当に可能なのか」という懸念があったそうですが、現場には品質・工程管理を担う「文書情報管理士」が在籍。東京コロニーの皆様の徹底した取り組みと素晴らしいクオリティによって信頼を勝ち取り、今では事業が大きく拡大しています。今年度内には全国13拠点で約3万冊分の画像データを納品する予定とのこと。
ここ大田福祉工場では2年前から本格始動し、昨年度は年間60万コマを納品。さらに国会図書館だけでなく、神奈川県庁や川崎市役所などの行政文書のデジタル化も受注されています。一般企業と対等に渡り合う専門性の高い仕事だからこそ、障害のある方々の働く場と賃金が向上し、何より「自分たちがこの重要なインフラを支えている」という大きなやりがいに繋がっているのだと、利用者や保護者の皆様の喜びの声からも深く伝わってきました。
視察を終えて
新設されたデジタル棟などを拝見しましたが、一人ひとりが非常に丁寧かつ集中して作業に取り組まれている姿に、大変深い感銘を受けました。デジタル技術の活用が、障害者就労の選択肢をここまで広げ、高い付加価値を生み出すことができるという事実は、私たち輝HIKARIにとっても大きな希望であり、目指すべき指標の一つとなります。
最後は、ご対応いただいた東京コロニーの朴沙羅統括部長、石垣順也次長、浜野治部長代理をはじめ、目黒区の渥美会長、吉塚施設長、櫻庭課長、有吉課長、そして議員団の皆様全員で記念撮影を行いました。
お忙しい中、このような貴重な機会を設けてくださった関係者の皆様、そして大田福祉工場の皆様に心より感謝申し上げます。今回の学びを、私たちの活動にもしっかりと還元してまいりたいと思います。
1. 視察の概要
2026年5月28日夕方、社会福祉法人東京コロニーが運営する「東京都大田福祉工場」(大田区)にて、目黒区の障害者団体(渥美会長)や行政関係者、公明党の小林健二都議および区議らによる視察が行われました。同工場へは5月11日にも公明党の竹谷代表らが視察に訪れており、障害者の賃金・工賃向上を目的とした日本財団の「障害者デジタルしごと応援事業」の先進事例として高い関心を集めています。
2. 大田福祉工場の取り組みと実績
大田福祉工場は、長年培った印刷業の知識と技術を活かし、新たに図書館や官公庁の資料をデジタル化する事業を展開しています。
- 主な業務内容:主に国立国会図書館の蔵書スキャン作業に参画しています。1ページずつの丁寧な清掃から始まり、本の厚みに合わせた専用スキャナーでの撮影、ゴミや傾きの有無を調べる二重の画像検査まで、細分化された工程を利用者が担っています。さらに、大型スキャナーを用いた図面や行政文書のスキャンにも職域を広げています。
- 作業支援体制:就労継続支援A型・B型の利用者が各自のスキルに合わせて参加できるよう、今年度から細かな「動画マニュアル」を導入し、いつでも作業を振り返られる環境を整えています。
- 工賃・処遇の大幅な改善:日本財団からの環境整備支援(1拠点あたり約1億円規模の補助)により、B型利用者の平均工賃は従来の月額約2万円から「5万5千円〜10万円規模」へと劇的に向上し、全国トップ水準を達成しました。
3. デジタルアーカイブ戦略と全国展開への動き
国はデータのアーカイブ戦略に基づき、2000年以前の図書資料等のデジタル化を推進しています。かつて障害者優先調達法には1500万円の上限額がありましたが、政令改正で上限が撤廃されたため、日本財団が大規模な発注を一括で受け、全国の障害者施設へ再委託する流れが加速しています。 現在、この事業は全国13か所に展開中であり[cite: 1, 2]、福岡県ではB型施設を中心とした「共同発注の仕組み(福岡方式)」によって多くの障害者が活躍し、行政文書のデジタル化に貢献しています。また、国会(参議院決算委員会)でも原田大二郎議員がこのプロジェクトを取り上げ、優先調達の拡大や地方自治体への応援を国に質問・提言しています。
4. 地域(目黒区・自治体)への応用と今後の課題
視察の場では、目黒区や他の自治体における行政文書(児童相談所の台帳、土木・建設図面など)のデジタル化への応用が議論されました。先行する江戸川区では、1年目は区の行政文書のみをデジタル化し、2年目から国会図書館の業務へと段階的にステップアップする「一般就労化モデル」を構築しています。 障害者が能力を発揮し、低い工賃環境を改善していくためには、自治体の首長による「トップダウンの政治判断」が極めて重要であり、共同発注の窓口機能や活動拠点の確保を含め、行政と政治が一体となった強力な後押しが求められています。









