交通空白地帯の解消と福祉インフラの未来〜低速自動運転実証事業に関する懇談に同席〜

本日(8月24日午前)、国会の原田大二郎参議院議員事務所にて、山本博司氏(元参議院議員)をはじめとする皆様とともに、「低速自動運転およびロボティクス産業の現状と課題」をテーマとした懇談に、当法人代表理事の金子が同席させて頂きました。

サダ・コンサルティングの野村貞行社長のご紹介により、(株)イイガの安倍則孝社長、ブローダビズ、(株)の林亨社長とお会いし、貴重な意見交換の場となりました。原田大二郎参議院議員、梅津秀宣政策秘書も同席されています。

(株)イイガの安倍社長らは現在、離島の宮古島や愛媛県宇和島市などの過疎地域において、実用化に向けた低速自動運転の実証事業を強力に推進されています。

交通空白地帯の解消と福祉インフラの未来〜低速自動運転実証事業に関する懇談に同席〜の様子1

【懇談の主なテーマ:低速自動運転・ロボティクス産業の現状と課題】

物流の「2024年問題」や深刻な人手不足を背景に、低速自動運転や自動配送ロボットは、公道での実証実験から実際の社会実装のフェーズへと移行しつつあります。

時速20km未満の自動電動車を活用したサービスは、運転手の高齢化や路線バスの撤退、免許返納後の移動手段として非常に重要です。障害のある方やご高齢者の通院、買い物、さらには就労支援施設への通所など、5〜10km圏内の地域移動を支える次世代の足として、大きな可能性を感じました。

一方で、実用化に向けては以下の課題が共有されました。

  • 国際的な遅れと制度設計: 欧州(英・仏・独)が「制度設計」と「実装」を同時進行させているのに対し、日本は車両区分の連続性など産業政策上の空白(実用的な中間帯の弱さ)がある。
  • 実装へのハードル: センサーの認識限界に加え、法規制や審査体制上のボトルネックが存在している。

【今後の展望と輝HIKARIとしての視点】

低速小型の自動運転システムは世界共通で制度設計が急務となっている分野です。日本は豊かな需要と優れた技術基盤を持ち合わせていますが、法規やこれまでの慣行をアップデートしていく必要があります。先日(8月22日)の公明新聞でも「交通空白による損失は10兆円」と報じられたように、移動手段の確保は国を挙げての急務です。

当法人としても、障害のある方々の地域生活や就労を支える上で「移動手段(モビリティ)の確保」は直結する極めて重要なテーマです。今回の懇談で得られた最新のテクノロジー動向を活かし、誰もが地域で安心して暮らし、働き続けられる社会の実現に向け、今後も原田大二郎議員や山本博司氏をはじめとする関係者の皆様と連携を深め、福祉現場の視点をもって対応を進めてまいります。

交通空白地帯の解消と福祉インフラの未来〜低速自動運転実証事業に関する懇談に同席〜の様子2


2026年8月24日午前、原田大二郎参議院議員事務所にて行われた、低速自動車の自動運転システム(LS-IADS)に関する懇談の要約です。

【懇談の概要】 本懇談は、自動運転モビリティの社会実装に向けた課題と法制度整備の要望をテーマに実施されました。当方からは原田大二郎参議院議員、山本博司前参議院議員、金子訓隆代表理事が参加しました。先方からは、株式会社イイガ代表取締役の安部則孝氏(医師)、ブローダービズ株式会社CEOの林亨氏、サダ・コンサルティング代表の野村貞行氏 の3名が参加し、最前線の実証実験の知見に基づく意見交換が行われました

【1. 現在の課題(制度・技術・産業的障壁)】 先方より、低速自動運転の普及を阻む複数のボトルネックが提示されました

  • 法制度と審査体系のミスマッチ: 現行の日本の法制度では、時速100kmで走行する自動車も、時速20km未満の低速モビリティも、同じ「レベル4(特定自動運行)」の安全基準が適用されます。そのため、低速車両であってもセンサーやブレーキの完全二重化など過剰な要件が求められ、システムの高コスト化を招いています。
  • 大型バス偏重のアプローチ: 国土交通省などの実証実験は大型バスの自動運転に偏っていますが、車体が重く制動距離が長くなるため、車両とシステムで1億〜2億円規模のコストがかかります。これは財政難の地方自治体や事業者にとって導入困難な価格帯です。
  • 厳格な警察規制と実証の固定化: レベル4の認可権限を持つ公安委員会の基準が厳しく、3〜4kmの走行ルートのうち、無人運行が許可されるのはわずか50m程度に制限されるケースがあります。路上駐車の回避など、実用化に必要なAIの学習データが十分に蓄積できない環境に置かれています。
  • 1対1監視の非効率性: 現行の制度運用では、1台の車両に対して常に1人の監視員が張り付く発想が残っており、複数台の監視(1:N)による人件費削減が進みません。
  • 産業空洞化の危機: 欧州(英・仏・独)では既にL6eやL7eといった超小型・低速車両の区分が整備されていますが、日本にはこの中間区分が存在しません。結果として、国内の自動運転実証実験の7〜8割をフランスやエストニア、中国などの海外製車両が占めており、日本発のロボティクス産業の形成機会を逸する危機にあります。

【2. 政治・行政への要望】 これらの課題を打破するため、政治主導による以下の3点の枠組み作りが要望されました

  • ① 低速専用カテゴリの創設: 時速20km以下の領域を一般的なレベル4とは別枠とし、速度・重量・ODD(運行設計領域)に応じた「性能規定型」の独立制度(LS-IADS)へ見直すことです。かつての特定小型原付(電動キックボード)のように、低リスク領域を切り出した新カテゴリの創設が求められます。
  • ② 低速自動運転PTの設置: マイクロモビリティPTと同様に、自民党のMaaS議連等の枠組みの中で「低速自動運転」に特化した継続的な検討体制(プロジェクトチーム)を構築することです。
  • ③ 省庁横断的枠組みによる安全評価: 警察庁(交通ルール)、国土交通省(車両安全)、総務省(通信品質)の縦割りを排し、「低速車両+インフラ協調(占有型通信・Edge AI)+路側設備」を一体の安全システムとして審査する仕組みが必要です。通信途絶時には車載センサーのみで安全に停止するフェイルセーフを前提としたルールの確立が急務です。

【3. 将来性と展望(地域社会・経済への波及効果)】 低速自動運転システムが実装された場合、地域課題の解決と新たな産業創出において極めて高い将来性が見込まれます

  • 地域交通の維持とMaaSの最適化: 高齢化による免許返納やバス路線の撤退が進む中、集落内の5〜10km圏内(通院・買い物など)を無人でつなぐ低速モビリティは必須のインフラとなります。幹線道路は既存の路線バスが担い、そこから枝葉となる集落内のラストマイルを低速車両が担う効率的な交通網が構築できます。
  • 圧倒的な低コスト化: すべての演算処理を車載GPUで行うのではなく、自営通信(ローカル5G等)を用いて外部のエッジAIに処理を逃がすことで、最終的に車両価格を500万〜1000万円以下に抑えることが目標とされています。これにより、自治体の単年度予算での共同調達が可能となります。
  • 自営通信網による防災力強化: 商業網の遅延(大阪経由で約40ミリ秒など)を避けるため、地域BWAやローカル5G(遅延約10ミリ秒)を整備します。これは災害時にキャリア通信がダウンした際にも、役場主導の防災無線として機能する副次的価値を生みます。
  • 日本発の「狭隘路モデル」の世界展開: 米国や中国が広大で直線的な道路での自動運転を主眼とする一方、日本特有の狭く入り組んだ生活道路での低速自動運転ノウハウは、世界共通の「空白地帯」であり、グローバル市場への輸出が期待できます。
  • ロボティクス基本法への発展: ドローン、自動運転、ヒューマノイドロボットなど、今後普及するフィジカルAIを統一的に管理し、リスクレベルに応じたクラス分けを行う「ロボティクス基本法」のような包括的法整備の基盤となります。

【直近のロードマップと次なる展開】 現在、総務省の地域DX予算(約8000万円規模)を活用し、愛媛県宇和島市(山間地区)において大手メーカーとオープンソースOS(Autoware)を用いた実証実験の準備が進められており、本年12月頃に開始、来年1月頃には現地視察が可能な段階に入る予定です。また、沖縄県宮古島市では、宿泊税を財源とした観光客向けの商業運行を2028〜2029年に開始する計画が進んでいます。 今後は、政治のリーダーシップの下で実証実験レベルから「産業化・全国展開」へとフェーズを移行させ、世界に先駆けた日本発の低速自動運転エコシステムを構築していくことが確認されました。

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