Bluesky勉強会の事前打ち合わせ:永田町

19日午後から、原田大二郎参議院議員事務所にて、原田大二郎参議院議員・山本博司氏(日本財団アドバイザー)・Bluesky事務局の輝HIKARI金子訓隆代表理事・藤牧誠氏らと、内閣府のデジタルアーカイブ戦略担当官を招いて行われた事前打ち合わせを行いました。
会議録要約は以下の通りです。

  1. 会議の目的と背景
    本会議は、開催予定の第39回Bluesky勉強会に向けた事前打ち合わせとして行われました。勉強会では、国立国会図書館のデジタル化に伴い、障害者デジタル仕事応援事業の一環として、日本のデジタルアーカイブ戦略と、障害のある方の賃金向上を支援する日本財団の取り組みなどを組み合わせた議題が予定されています。今回はその前段階として、政府のデジタルアーカイブ戦略の現状や、障害者のデジタルトランスフォーメーションにおける位置づけについてヒアリングと意見交換が行われました。
  2. 内閣府によるデジタルアーカイブ戦略の概要説明
    内閣府参事官より、提出資料に基づきデジタルアーカイブ戦略の概要が説明されました。本戦略は、デジタルアーカイブが日常に溶け込んだ豊かな創造的社会の実現を目指し、2026年度以降の5か年戦略として策定されたものです。日本の文化的・学術的コンテンツの発見可能性を高め、活用しやすい基盤を提供することを基本理念としています。
    戦略の肝となる基本的施策として、メタデータの整備や二次利用条件の明示などの基盤整備、国の検索プラットフォームであるジャパンサーチの整備維持管理、メタデータの多言語化等による海外発信力強化、専門的知見を有する人材の確保や知識の普及の4点が挙げられました。
    この戦略は政府部内のさまざまな役所の総合調整を行う緩やかなものであり、強力な予算措置やフォローアップが最初から組み込まれているわけではないものの、各分野の中核的なアーカイブ推進組織がリード役を果たし、5年間の分野別の重点アクションと具体的な数値目標を設定して推進していく仕組みとなっています。
  3. ジャパンサーチの現状と課題
    ジャパンサーチには現在4000万弱のメタデータ情報が入っており、ここ1年でアクセスやデータ件数が急激に増加しています。しかし、このアクセスの急増は人間が閲覧しているだけでなく、生成AIの学習データに取り込むためのプログラムの動きによるものも含まれており、不自然な動きをみせることもあると報告されました。また、オールジャパンでの連携を目指しているものの、国内の著名な美術館や博物館でもまだリンクがつながっていないところがあり、認知度や日頃の利活用という面では、まだこれから広げていく段階であるという認識が示されました。
    達成目標としては、2035年までにEUの文化資産プラットフォームであるユーロピアナ並みの規模・範囲と利便性とすることを目指しており、2030年までに連携メタデータ数を5000万件、連携推進機関数を80機関、地方自治体との連携を47都道府県域に拡大する目標が掲げられています。
  1. 成長戦略における位置づけとメディア芸術への注力
    原田議員や山本氏からの、成長戦略におけるこの分野の位置づけについての質問に対し、参事官からは直接的な大型補助金などがあるわけではないものの、間接的な支援として文化庁などの予算拡充につながる動きがあることが説明されました。
    特に横断的テーマとして、クールジャパンの観点からマンガ、アニメ、ゲームなどのメディア芸術のアーカイブ化に力を入れています。具体的には、既存の国立映画アーカイブの収蔵庫がある相模原のスペースの一部を活用し、メディア芸術ナショナルセンター(仮称)の機能を有する拠点の整備を推進する超党派の動きが紹介されました。ここでは映画フィルム以外の漫画やアニメのセル画、中間生産物などの貴重な資料をお預かりし、少しずつ広げていく調査研究や具体化が進められています。
  2. Bluesky勉強会の歩みと第39回勉強会の詳細な取り組み
    輝HIKARIの金子代表理事より、平成26年頃から山本博司氏らが中心となって立ち上げたBluesky勉強会の詳細な取り組みと歩みが紹介されました。この勉強会は、主にIT分野の草創期を支えた人々や、デジタル技術を活用して社会に変革を起こそうとする経営者たちが集まり、先進的な知見を共有する場として継続されてきました。
    過去38回にわたる開催では、愛媛県のメンバーを中心に小規模ながらも質の高い議論を重ねており、過去の開催では、サイボウズの青野社長や、フィンテックに関する議論、ZOOM日本法人社長、マイクロソフトからは生成AIに関する講義など、常に最先端のITトレンドやデジタル技術の最前線にいるリーダーたちを招聘し、ITに関わる深い内容を中心に開催されてきた実績があります。
    次回の第39回勉強会では、原田議員が5月の決算委員会で質問した、国立国会図書館のデジタル蔵書化に障害のある方々が携わり、障害者優先調達を通じて賃金向上を目指す取り組みをさらに深掘りする予定です。この障害者就労のバックボーンを日本財団が支えています。
    参加者はオンラインを含めて約70名から80名規模を想定しており、そのほとんどがIT企業の社長や経営層で構成されています。この勉強会を通じて、メタデータや著作権管理などの技術的な課題について経営者目線での議論を促すとともに、当事者であるIT経営者たちに対してもジャパンサーチという優れたプラットフォームの存在を広く認知させ、ビジネスや新たなサービスへの利活用を促すことが最大の目的です。
    金子代表理事は、行政文書や地方の建設業の図面など、地方自治体や国に紙ベースで残されている膨大な地域資源のデジタルスキャンおよびメタデータ作成の仕事を障害者の業務パッケージとして切り出し、全国的な就労機会へと広げる青写真を示しました。この取り組みについて内閣府にも登壇を依頼し、実務を担う国立国会図書館の担当者とも調整してデモンストレーションを交えた説明を行う方向で検討が進められています。
  3. 知的財産・著作権と生成AIを巡る議論
    会議の後半では、デジタルアーカイブの利活用における著作権や生成AIのリスクについて活発な意見交換が行われました。
    参事官からは、近年デジタルアーカイブへの関心が高まる一方で、高精細な画像を公開すると生成AIに勝手に学習されてしまうのではないかという権利者側の不安や引き潮感があることが吐露されました。また、文化庁が作成した著作権法の啓発資料を巡り、パロディや二次創作の界隈で、黙認の文化と権利者の主張の間でネット上の炎上リスクが高まっている現状など、人間とAIの学習や模倣の境界線の難しさが専門的な視点から議論されました。
    原田議員からは、有料コンテンツの冒頭のみを公開し、それ以降は課金ロックをかけるような仕組みをジャパンサーチなどのプラットフォーム側で構築できれば、漫画家などのクリエイターにもサブスクリプション的な形で現実生活に還元できるのではないかという提案がなされました。これに対し参事官は、海外の学術論文におけるオープンサイエンスの動きなどを例に挙げつつ、公共的なプラットフォームにおける課金のあり方や価値観の調整にはなお難しい課題があると言及しました。

なお、来月7月28日には、内閣府と日本財団を招いた第39回Bluesky勉強会が開催される予定です。