【障がい者雇用特集】(フォーカス社会保障)義務化50年、障がい者雇用の今:公明新聞

2026年9月11日の公明新聞4面に「(フォーカス社会保障)義務化50年、障がい者雇用の今」と題して、障がい者雇用についての特集が組まれました。

この取材に協力した企業は「東京都ビジネスサービス(株)」と「(株)マイナビパートナーズ」です。
この2企業は、特例子会社として率先した取組を実践されているということで、元厚生労働省障害者雇用対策課長の小野寺徳子氏からご紹介頂き、山本博司前参議院議員と共に今年2月3日に見学をさせて頂きました。

障がい者雇用の未来を切り拓く。東京都ビジネスサービス(株)を視察:東京都港区

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障がい者雇用を「戦力」に!マイナビパートナーズを視察:東京都千代田区

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当団体のこの活動報告もご参考頂き、今回の公明新聞の特集について御覧下さい。

なお、記事内容は引用させて頂きます。


【障がい者雇用特集】(フォーカス社会保障)義務化50年、障がい者雇用の今:公明新聞の様子5

(フォーカス社会保障)義務化50年、障がい者雇用の今

 障がい者の雇用が民間企業に義務付けられてから今年で50年、今では雇用される障がい者は70万人を超えている。障がい者、企業双方の現状を解説するとともに、法政大学の眞保智子教授に話を聞いた。

■「自分に合った仕事ができる」

 「自分に合った仕事ができている。慣れるまで会社は温かく見守ってくれた」

 笑顔でそう語るのは、東京都とIT関連企業システナが共同出資し、設立された「東京都ビジネスサービス株式会社」(東京都江東区)で働く稲葉洋介さん(56)。

 システムエンジニアだった稲葉さんは、20代後半に過労が原因で精神疾患である統合失調症の症状が強く現れるようになったことを機に退職。入院を経て2020年から勤めているのが同社で、社内システムの運用開発や新入社員の研修などを担当している。今月、昇進も果たした。

 障がい者を雇う事業主には、障がい特性や当事者の困り事に合わせてバリア(障壁)の解消を支援する「合理的配慮」が求められる。同社では、社員573人のうち障がい者は123人(9月現在)に上る。電子看板(デジタルサイネージ)などを活用し、「常に状況を把握しながらチームとして動けるよう、仕事の工程管理や進捗を“見える化”している」(根津史明代表取締役社長)。

■民間で70万人超働く/近年は「精神」の伸び顕著

 障がい者雇用促進の転機は1976年。身体障害者雇用促進法(87年に障害者雇用促進法に改称)が改正され、従来の国や自治体に加え、民間企業の事業主にも身体障がい者の雇用が義務付けられた。現在は知的障がい者や精神障がい者も雇用義務の対象となっている。

 厚生労働省によれば、昨年6月現在で、従業員40人以上の民間企業で働く障がい者は過去最高の70万4610人を記録した。50年前と比べると実に5倍以上も増え、従業員に占める障がい者の割合「実雇用率」は2・41%まで上昇している【グラフ上参照】。障がいの種類で見ると、身体障がい者が約37万人と半数以上を占め、精神障がい者が約17万人、知的障がい者が約16万人だった【同下参照】。近年は精神障がい者数の伸びが顕著だ。

■法定雇用率が7月から2.7%

厚労省は障害者雇用促進法に基づき、一定規模の企業に達成を義務付ける「法定雇用率」を設定。1・5%を皮切りに段階的に引き上げ、直近では7月に2・5%から2・7%へと改めた。これに伴い、企業は従業員37・5人ごとに障がい者1人以上の雇用が必要となる。

 法定雇用率を達成している企業は昨年6月現在、全体の46%にとどまる。従業員101人以上の企業が未達成の場合は、不足人数に応じた納付金を国に支払う。

 障がい者雇用の促進を巡っては、雇用に特別に配慮した子会社「特例子会社」を設立している企業があり、設立時に一部の自治体は補助金も出している。特例子会社で雇用した障がい者は、親会社やグループ会社全体の実雇用率算定に反映させることができ、法定雇用率達成を支えている。

 特例子会社は厚労相の認定を受けており、障がい特性に合わせて設備や就業規則が整っていることが多いのが特徴だ。東京都ビジネスサービス株式会社も、その一つである。

■中小の受け入れに課題

 法定雇用率の達成具合は企業規模ごとに開きがある。従業員1000人以上の大企業は57・5%が達成している一方、40人以上100人未満の中小企業は44・7%と低迷(昨年6月現在)。中でも、障がい者を1人も受け入れていない企業は4万社近くに及び、その多くが中小企業だ。

 厚労省の2023年調査では、雇用上の課題について「会社内に適当な仕事があるか」「雇用するイメージやノウハウがない」を挙げる企業も多かった。

 障がい者雇用に後ろ向きな企業が見られるのはなぜか。就職情報大手マイナビの特例子会社で、障がい者雇用に関する企業向け支援も手掛ける「株式会社マイナビパートナーズ」の藤本雄・代表取締役社長執行役員は指摘する。

 「雇用方針の決定や社内の理解促進に加え、教育・研修など採用後の受け入れ体制まで設計してから障がい者を採用することが理想だが、準備ができないまま採用せざるを得ない企業は多い。結果的に当事者が十分活躍できず、『障がい者は戦力にならない』との誤った見方につながっているからだ」

 雇用促進に当たって、企業は「数」だけでなく、労働の「質」を確保していくことも求められる。

■法政大学 眞保智子教授/多様性ある職場つくる

 --障がい者雇用義務化の歩みをどう評価するか。

 眞保智子教授 義務化された当初は地域の中小企業や公的機関が雇用を支え、2000年以降は大企業が中心となった。一般就労をめざす障がい者をサポートする「就労移行支援事業」をはじめ、国が福祉、労働それぞれの領域で雇用促進につながる事業を展開している。支援機関や企業側の取り組みも相まって雇用が大きく伸びた。

 --障がい者雇用の意義は。

 眞保 障害者雇用促進法の目的は、障がいのない人と同程度に障がいのある人にも雇用機会を確保することだ。働く意思のある障がい者は年々増えており、これを踏まえて法定雇用率が引き上げられてきた。

 もちろん企業には採用の自由があるが、障がいや病気は誰にでも起こり得る。労働時間を柔軟にして多様な働き方を認め合うなど、障がい者雇用を進めることは皆が働きやすく、活躍できる職場づくりにつながる。

 --障がい者の働く場を企業に提供する「障がい者雇用ビジネス」を巡っては規制に向けた動きもあるが。

 眞保 法定雇用率の達成のみを目的として、障がい者の雇用管理を事業者にほぼ丸投げしているケースが指摘されているからだ。障がいの有無にかかわらず共に働くことを掲げた雇用促進法の理念に逆行しかねない。障がい者が能力を発揮しながら、安心して働き続けられる環境を整える一環として受け止めている。

■国の相談援助事業拡充を

 --特に中小企業に対して必要な支援とは。

 眞保 法定雇用率が上がる中、雇用できる能力が企業に本当にあるかどうかを注視していく必要がある。その上で、障がい者雇用を新たに始めたいと思っても、何から着手すればいいか分からない企業も少なくない。踏み出すきっかけを、いかにつくれるかが課題と言えよう。

 法定雇用率が達成できず納付金を支払っている企業もある。障がい者を人材活用した方が人手不足解消の面でもプラスになる。「雇うより払う方が安く済む」との発想は転換すべきだ。

 障がい者雇用の経験がある事業者から、原則無料で採用から配属・定着まで一貫して伴走型の相談援助を受けられる「障害者雇用相談援助事業」を厚生労働省は24年から実施している。こうした各種支援策の周知を進め、さらなる拡充も求めたい。

 しんぼ・さとこ 法政大学大学院社会科学研究科経営学専攻修士課程修了。博士(経済学)。専門は障がい者雇用と就労支援など。高崎健康福祉大学准教授などを経て現職。精神保健福祉士。厚生労働省の「障害者就労に係る雇用福祉横断検討会」のメンバー。